内容説明
「タンタンの冒険」シリーズの幻の第一作目『タンタン ソビエトへ』の日本語版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
106
ヨーロッパの大人向け漫画『バンド・デシネ』の歴史を拓いた『タンタンの冒険』シリーズの第一作で1930年発行。少年ジャーナリスト・タンタンを主人公とし全24巻が刊行された。本作は、1922年に誕生した社会主義国家ソビエト連邦を舞台にした冒険譚。作者エルジェ氏はシリーズ初期は政治的に偏向した考えを持っていたとされ、後に作者自身が初期の作品を悔やんでいたと伝えられる。第二次大戦後にシリーズはカラー版に改訂されたが、この本だけはカラーにならず、長い間絶版で『幻の処女作』と呼ばれていたという。画風も素朴な印象だ。2015/12/02
nakanaka
75
タンタンシリーズの第一作目とのこと。白黒漫画が時代を感じさせます。タンタンがかなり荒々しく大胆な青年として描かれていました。冒頭のエルジェからのメッセージにもありますが詳細な取材もなしに描かれたものなので雑な印象ですし、なにより作者のソ連に対する嫌悪感が滲み出ています。共産主義国家に対する私のイメージも今回の作品に近いものがあったりもするので意外とそれが現実だったりして…。2016/10/09
yomineko@ヴィタリにゃん
64
読み友さんからのご紹介です。所々、ロシア語があってとても面白かったのですが、やはり当時はソビエト=悪の巣窟と思われていたのがよく分かります。ロシアになってせっかく盛り返して来たのにこの始末。でもタンタンみたいなレポーターがいたら、ロシアも真っ青ですよ( ´艸`)2022/03/05
Willie the Wildcat
28
次男が、学校の図書館から借りてきていたのを拝借・・・。(笑)これが”まぼろし”と言われるシリーズ第一作。読んでみると、確かにその理由が理解できる。ただ、時代を反映している、とも解釈すべき。「限定された情報に基づく、先入観・偏見」。これは、当時のソ連に限ったことではない。素直に、少年と愛犬の冒険!と考えると、機知にとんだスノーウィの活躍が気持ちいい。昨年観た「The Adventures of TinTin」のイメージと同じだぁ。2012/10/09
らん
22
最近何気なく観たアニメだったけれど政治・歴史・風土や文化を資料で綿密に調べ描かれた作品だったのですね。シリーズのうち3冊がガーディアン必読小説なのは驚き。"スターリンの時代のタンタンにかかれているのは『動物農場』さながら"と読友様が感想に書かれていてそちらも読みたい。ソビエト連邦という国はどんな国だったのか理想と現実を考えるきっかけにもなる本作。スラムのパンの配給シーンの辛い現実。スノーウィの優しさにほろり。圧制者に立ち向かうタンタンの勇敢さ、幾度となく危機を助けるスノーウィの利発さ、このコンビが大好き。2023/07/25