感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
51
良質の児童書。作者は林明子さんとの絵本「はじめてのおつかい」を描いた筒井頼子さん。さすが、子供の繊細な心の描写が巧み。疎開した東北の小さな山村にそのまま住みついたひさしの一家。よそ者としての立場を気にしつつも、豊かな自然の中で暮らす家族の姿を描いた物語。とても素朴な物語なのですが、面白いです。引き込まれました。当時の人々の生活の様子や子供たちの生き生きとした描写が秀逸。筒井さん自身が家族で秋田県に疎開し終戦後もしばらく暮らしていた、ということで、その体験がもとになっているようです。2023/07/01
アオイトリ
23
読メのレビューより)戦争を逃れて東北に疎開したひさし一家。息づかいまで聞こえてきそうな豊かな方言と、子どもたちの毎日を描きます。自分の親世代にあたるので、ひときわ親しみを感じて読みました。モノや情報は少ないけれど、豊かな自然とゆったり流れる時間。旅に出たように心が洗われるよい本です。「虫達(むしだ)もこのごろはたえした上達(じょうだづ)したなあ。鳴ぎ音(ね)の良(え)ぐなったごと」良書。2023/07/22