内容説明
東京の効外に住む念海夫人は、ちょっとそそっかしいけれど、お人よしの正義派。自分の研究以外のことには、とんと無関心な御主人と、ひとり息子の宏ちゃんのほかに、しょっちゅう新顔のふえる迷子ねこたちの世話で、夫人は毎日てんてこまいです。そんな奥さんのまわりには、孤独な少女、精神障害の子、不良化していく少年たち。そして彼らをめぐっておこる困った事件は…。朝日新聞に連載された、親子そろって楽しめる家庭小説です。
著者等紹介
石井桃子[イシイモモコ]
1907年、埼玉県に生まれる。日本女子大学英文科卒業後、文藝春秋社、岩波書店に勤務し、現在、著述・翻訳に従事する。1951年「ノンちゃん雲に乗る」で文部大臣賞受賞。1953年、児童文学に貢献したことにより、菊池寛賞受賞。東京在住
脇田和[ワキタカズ]
1908年、東京に生まれる。23年、渡欧、ベルリン国立美術学校に学び、30年まで滞在。帰国後、光風会展、帝展に入選。35年、初の個展。36年、猪熊弦一郎、小磯良平らと新制作協会を結成。以来、同協会展を中心に、戦後はサンパウロやベニスのビエンナーレ展などの国際展にも出品。55年、日本国際美術展・最優秀賞を、56年、毎日美術賞、グッゲンハイム国際美術展・日本国内賞を受賞。68~70年、東京芸大教授。69~74年にはモザイク壁画、タペストリーの大作も手がけた。2005年11月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュシュ
9
1958年の東京朝日新聞の連載小説。6年生の一人息子とその両親と飼い犬1匹と、たくさんの飼い猫のいる念海(ねんかい)家の物語。家出した少女、障害のある子とその母親、恵まれない家庭の子どもたちに関わっていく念海夫人。でも決して完璧な主婦ではなく、夫や息子にイライラ、オロオロするところがよかった。ストーリーと、石井桃子さんのユーモアのある語り口が面白くて一気に読んだ。あまり知られていない本だと思うが、たくさんの人に読んでほしい。2014/09/05
すすき
0
ネコ好きで沢山のネコを引き受けてしまう念海さんのおくさんを中心に、念海家の家族・お隣のお金持ち団野さん一家などが登場し、飾らない文章でどこにでもありそうな家族の雰囲気を醸し出しています。 1986年発行の本ですが、1958年から新聞に連載された小説。戦後間もない頃の時代背景も色濃く残しています。石井さんの作品「山のトムさん」はネコが主人公のよい味わいの作品でしたがここでも愛すべきネコが登場、石井さん自身が相当なネコ好きだったんでしょうね。2019/03/22