内容説明
ブラノック島は、スコットランドの東に位置する美しい離れ小島。島民はのんびりした昔ながらの生活を送っている。文明から取り残されたようなこの島を、モラグは愛していた。モラグは24歳。島民から“御大”と呼ばれて親しまれている、老齢の領主ダンカンの付き添い看護婦をしている。ある日、ダンカンの使いで村の骨董屋に出かけたモラグが、女主人に頼まれて店番をしていると、島の者ではない長身の男が入ってきた。日に焼けたその顔は、厳しい表情さえなければ魅力的だろうが、無愛想で、金さえ出せばほしいものは何でも手に入ると思っているようだ。早く島から出ていって!モラグは心の中で叫んだ。一ヵ月後、新しい領主として、彼が島に現われるとも知らずに。