内容説明
柴田勝家を滅ぼし、お市の方の三人娘、ちゃちゃ、お初、お江の身柄を預かった秀吉は、天下人への地歩を固める。やがてちゃちゃを自らの側室に、お江を政略結婚の道具にしながら、豊臣政権の永続に心を砕く。佗び茶の創始者である千利休は、職田信長に次いで秀吉の茶堂も務め、天下の大盛事・北野大茶会を仕切るなど、諸大名との間を取り持つ存在として政権に重きをなす。二人を軸に描く絢爛戦国物語。
著者等紹介
邦光史郎[クニミツシロウ]
1922年東京都生まれ。高輪学園卒業。京都で五味康祐らと「文学地帯」を創刊。のち放送作家。62年『社外極秘』で第48回直木賞候補。著書に『坂本龍馬』『利休と秀吉』『三井王国』など多数。92年京都市文化功労賞受賞。96年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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河内 タッキー
8
利休と秀吉の話ではあるが、織田有楽斎の視点からの話。この、信長秀吉家康の時代は人間関係や政治的思惑が濃密で、解釈の仕方によっていくらでも創作できる。我々はそのそれぞれの解釈に想いを巡らせる。2024/12/08
ゆずマフィン
6
秀吉と利休の対立がなぜ起きたのか,秀吉という一百姓にすぎなかった彼が信長の寵愛を受けて重鎮になるのだけれど,天下人になってからの彼の行動はとっても人間くさい。好き,嫌いは別として興味深かった。茶の湯の知識もほとんどないけれど,飽きずに読める本。戦国時代のごたごたしたときに登場するたくさんの人物もだいぶ,整理できて覚えられたかな,という感じ。そう,キリスト教布教とポルトガル,スペインの植民地政策と関連づけて書かれているところがひどくおもしろかった。日本人も危なく奴隷として売られていたかも。2011/01/05
太陽の扉
2
数年前に利休に関する本を読んだけど、あの頃は私も若かったのかな。利休の美しい部分だけ見えていたけど、利休も一人間だったんだな。2011/09/24
hirotama
2
今年の大河ドラマ「江」が始まり戦国の世を予習する感じで読み進めた。父浅井長政を自刃に追い詰めた秀吉に対するおちゃちゃの心の葛藤に興味を持った。天下人となり自分の望むものに得られないものは何もないと豪語する秀吉にも子供運には恵まれなかった。これまで秀吉に自刃させられた人達の怨みからなのか… また天下一の茶匠としての道を曲げなかった利休と秀吉との意地の張り合いから最後は利休を切腹まで追い込む。この時代に生きた武将達の強かさを分かりやすく伝えていた。2011/01/25