目次
序章 百年戦争期王国の多元的構造と国家生成―研究動向と課題(地域的多様性と精神的一体性の交錯;諸侯国、百年戦争、王権;本書の課題)
第1章 白ユリ諸侯の形成(親王から白ユリ諸侯へ;親王領から親王国へ;親王領設定文書の変容)
第2章 「国ぐに」における国王統治と諸侯(国王代行官と諸侯権;国王代行任務の実態)
第3章 パリにおける諸侯抗争と王国統治観(幼王シャルル六世王権;諸侯抗争下の王国統治観の転換;王族殺害事件と王国国制)
第4章 国王裁判権と諸侯国(諸侯国から国王裁判権への上訴;パリ‐上訴法廷体制の構築)
著者等紹介
佐藤猛[サトウタケシ]
1975年北海道生まれ。1998年北海道大学文学部卒業。2005年北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、秋田大学教育文化学部欧米文化講座講師、博士(文学・北海道大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
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ヴァロワ朝の百年戦争期における統治体制を研究した一冊。直轄領こそ諸公と比べて特別広いわけでもない、しかし、全土において指導力を持てたのはなぜかという点を本書では王だけではなく、親王格の公爵や婚姻関係を結んだ有力諸公を広い意味での王家というグループを組んで統治していくことで統治に安定性を持たせ、後の中央集権体制の前段階を形成していったと考察している。王家による統治は役割分担が流動的で飛び地になっていたり直接王が統治をできない直轄領は代理権を近隣を治める公爵に付与して効率化するなど合理的に運営がされていた。2022/12/17