出版社内容情報
●本書の特徴
文学、映画、オタク文化、ミステリなど、台湾において戦後日本のサブカルチャーがどのように受容され土着化していったのか、また、台湾から日本のサブカルチャーは何を逆輸入しようとしたのか。戦後から現代にいたるサブカルチャー史を、日本と台湾双方の観点から明らかにする。
●目次
序──歴史と記憶をめぐる日台戦後サブカルチャー研究………押野武志
従来の研究と本書の目的
歴史と記憶の交差
本書の構成と概要
Ⅰ 歴史の交差
1950年代初期の禁書政策と中国語通俗出版………張 文菁
はじめに
1 40年代末から50年代初頭の台湾図書市場
2 空洞化する50年代の図書市場
3 台湾通俗小説の出現へ
おわりに
1970年代アジア系女性アイドル論………押野武志
はじめに──南島オリエンタリズムの回帰
1 1970年代前半のアジア系アイドルの登場とその背景
2 南沙織と南国イメージ
3 鄧麗君と「何日君再来」
おわりに─アイドルと愛国の現在形
台湾ニューシネマにおける歴史表象──侯孝賢とエドワード・ヤンを中心に………趙 陽
1 『悲情城市』における歴史表象の再考
2 『台北ストーリー』における台北の歴史
3 『牯嶺街少年殺人事件』におけるロックンロールの歴史
おわりに
台湾ノスタルジアを超えて──東山彰良と北方謙三………𠮷田司雄
1 台湾ノスタルジアの流行
2 北方謙三『望郷の道』
3 東山彰良『流』
感情労働からパフォーマンス労働へ──台北「メイド喫茶」の民族誌研究
………李 明璁・林 穎孟(大塚麻子 訳)
1 はじめに
2 参照文献と概念分析
3 研究方法
4 研究報告
5 ま と め
Ⅱ 表象の交差
台湾は『マジンガーZ』で何をしたのか………横路啓子
1 台湾における「日本」の意味
2 『マジンガーZ』から『無敵鉄金剛』へ
3 子供の頃の思い出としての『無敵鉄金剛』
4 記号としての「無敵鉄金剛」
5 成り上がる文化
SF・ヘテロトピア・グローバルな近代性──映画「神龍飛俠」シリーズのSF的想像力
………楊 乃女(熊 雨青 訳)
はじめに
1 視覚論的転回とグローバルな近代性
2 台湾語SF映画と「神龍飛俠」シリーズ
3 SF映画と近代性
おわりに
日台神仏図像学──キャラクター化する神仏と現代メディア………今井秀和
1 現代日本のキャラクター文化
2 伝統的な神のキャラクター化
3 架空の神のキャラクター化
4 いわゆる「神様」図像
5 日本の流行神とグッズ
6 台湾の神仏キャラクター
7 日台の神仏キャラクターと信仰
ドキュメントコミック、ジェンダー、そしてポスト3・11における情動の政治
………涂 銘宏(藤井得弘 訳)
1 災難を表象する図像とエクリチュールの倫理
2 3・11の記録におけるジャンル/ジェンダーの政治
3 萩尾望都とゆうみえこの漫画における3・11の情動の政治
4 ドキュメントコミックにおける「災禍の表象」への省察
おわりに
Ⅲ ミステリの交差
モンスターの越境──台湾ミステリにおける犯罪リビドーの科学的想像力と身体に潜む恐怖
………陳 國偉(李 珮琪 訳)
1 科学はミステリ世界の神か、それとも悪魔か?
2 モンスターを作る
3 日本を翻訳する歴史
4 科学の他/牠者化と身体の恐怖
「言えない秘密」をいかに翻訳するか──叙述トリックから見る台湾における日本ミステリの受容
………金 儒農(李 珮琪 訳)
1 はじめに
2 「言えない秘密」──世界に対する不信任投票
3 台湾における「言えない秘密」
4 おわりに──叙述の壁は存在するか
妖怪から見る台湾現代ミステリの社会的位置づけ………瀟湘神(張 可馨 訳)
1 台湾における妖怪ブームの文脈
2 台湾妖怪のブームがなぜ生まれたのか
3 妖怪は近代と共存できるか
4 ミステリの近代性
5 妖怪の近代化
6 結び
あとがき
内容説明
文学、映画、アイドル、アニメ、オタク文化、ミステリなど…台湾では日本のサブカルチャーはどのように受容されたのか。日本は台湾をどのように表象したのか。
目次
序―歴史と記憶をめぐる日台戦後サブカルチャー研究
1 歴史の交差(一九五〇年代初期の禁書政策と中国語通俗出版;一九七〇年代アジア系女性アイドル論;台湾ニューシネマにおける歴史表象―侯孝賢とエドワード・ヤンを中心に;台湾ノスタルジアを超えて―東山彰良と北方謙三;感情労働からパフォーマンス労働へ)
2 表象の交差(台湾は『マジンガーZ』で何をしたのか;SF・ヘテロトピア・グローバルな近代性―映画「神龍飛侠」シリーズのSF的想像力;日台神仏図像学―キャラクター化する神仏と現代メディア;ドキュメントコミック、ジェンダー、そしてポスト3・11における情動の政治)
3 ミステリの交差(モンスターの越境―台湾ミステリにおける犯罪リビドーの科学的想像力と身体に潜む恐怖;「言えない秘密」をいかに翻訳するか―叙述トリックから見る台湾における日本ミステリの受容;妖怪から見る台湾現代ミステリの社会的位置づけ)
著者等紹介
押野武志[オシノタケシ]
1965年、山形県生まれ。北海道大学教員。専攻は日本近代文学
吉田司雄[ヨシダモリオ]
1957年、東京都生まれ。工学院大学教員。専攻は日本近代文学
陳國偉[チンコクイ]
1975年、台湾基隆市生まれ。台湾の文化研究学会代表理事、国立中興大学台湾文学・トランスナショナル文化研究科教員・ディレクター、同大学台湾人文創造学部学位プログラム主任。専攻は台湾現代文学、大衆文学、ミステリー、ポップカルチャー、映像論、日台比較文学研究
〓銘宏[トメイコウ]
1969年、台湾台南市生まれ。台湾淡江大学教員。専攻は西洋近代哲学、東アジア思想、テクノロジーとサブカルチャー論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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