感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
57
独り言は多いが腕は立つ京の町の岡っ引き・仁兵衛には秘密があって・・・家に憑く“ねこまた”が見えたのだ。という物語は、硬質ながら優しさに満ちている。仁兵衛とねこまたたちの繋がりが温かく、和む。霊的な存在であるねこまたたちは物や人に触れることは出来ないが、仁兵衛は承知の上でお菓子を取り分けたりしてあげる優しさを持った男。人間を害することもなく、猫らしくのんびり暮らすねこまたたちの日常を見つめる仁兵衛。諸行無常を仄かに織り交ぜながら、暖かい交流は続いていく。2021/06/19
神城冥†
43
ねこまた可愛い。一家に一匹、いや数匹いてもいいなぁ。でも触れないのは切ないね。怪談話の時の弥七のツッコミが良い(笑)2017/09/18
とも*
35
ねこまた可愛過ぎ。 一屋根に一匹(?)憑いているというねこまたが何故か見える仁兵衛の所には何匹もいたり人に憑く黒ねこまたが居たり、そのねこまたにしゃべるのでひとりごとが多いと言われるとかいい感じ。 何事にも動じない仁兵衛の怪談話に思わず笑い、蔵が壊される話のねこまたにはしんみりし建てられた時のはほんわか。 場所が江戸の京都なのも楽しめた。 最後の短編江戸城中隠密譚も面白かった。2014/02/23
キキハル
34
家の軒や屋根には必ず一匹ずつ棲みついているのだそうな。害はなく役に立つこともなく、けれども住人と喜怒哀楽を一方的に共にしている存在、それがねこまた。その中でも唯一ねこまたが見える、ささめの親分こと仁兵衛個人についているのがくろねこまた。親分は人情篤い正義感で素敵なひとだから、彼らも懐くんでしょうね。みんな色柄違いで可愛らしいのですよ。マンションだったらベランダにいるのかしら。いればいいなあ、見たいなあ・・・。短編の耳伏も面白かった。作者さんは人外のものたちが本当にお好きなんですね。丸々一冊で読みたいです。2014/02/16
つたもみじ
33
江戸時代の京都が舞台。ささめの親分…こと岡っ引きの仁兵衛は独り言が多い。だけどそれは独り言ではなくて…。一軒に一匹、ねこまたが憑く。見える仁兵衛の所には何匹も憑いてますけども。ほのぼのでほっこり。癒しの四コマ。生きると言う事、他の命を頂くと言うこと、考えさせられる一冊でもあり。同時収録の「耳伏 ~江戸城中隠密譚~」は、人の体に犬の顔…大友と伏見とのやりとりにクスリと笑いつつも、シリアス寄りで、とにかく恰好良かった。2015/12/14