出版社内容情報
不登校、喪失体験、緊急支援。僧侶でもある著者が、小中高のカウンセリングの現場で出会った「死者」をめぐる7つの物語。近年、学校コミュニティでの死にまつわる事件や事故の多発に伴い、心のケアを必要とする事例が増加している。しかし、教育現場では、「死」の取り扱いに必ずしも慣れているわけではない。
本書は、僧侶でもある著者が、小・中学校や高校のスクールカウセラーとして、緊急支援、喪の作業、ひきこもりといった深刻な状況に向き合い、相談者の苦しみや悲しみに寄り添ってきた、7つの物語が描かれている。
死をタブー視しがちな学校の空気に風穴をあけるカウンセリングの本であり、同時にまた、仏教の入門書でもある。
「ときには、神秘的で、あやしげなことだって、相手は語り出す。死んだらどうなるんだろうとか、幽霊に悩まされているだとか、不思議な夢を見ただとか、そういう話もたくさん出てくる。そういう「心の現実」の奥底に垣間見える苦しみや傷つきの痕跡こそが、本当に大事なことなのである。相手の心の内奥からの叫びに耳を傾けて、じっと待つ。そうすると、不思議なことに、何かが動いてくる。何かがはたらいてきたときには、すでにその人の心は解きほぐされている。そして、成長している。自身を引き受けているのである。
こういうカウンセリングの見方を、私に教えてくれたのは、やはり仏教であった。」(あとがきより、抄出)
プロローグ
第1章 死と誕生をめぐる話
「わたし、死んだらどうなるんだろう?」
生まれてきてよかったのかと悩んでいた女子中学生がつぶやいた。
第2章 いのちより大切なもの
「いのちが一番大切と思っていたときは、生きることが苦しかった」
急性骨髄白血病の看護学生がたどりついた、生きる喜びの世界
第3章 傍らにいて、ともに悲しむ
「先生、あいつが死んだことは悪いことなのか?」
ある日、生徒がひとしれず命を絶った──。
第4章 世界は輝きに満ちている
「もしかしたら、私はあの子の面影ばかりを探していたのかもしれません」
息子を事故で失った母が、生きる希望を見出すまで。
第5章 不登校と幽霊
「私、以前から舅の幽霊に悩まされていまして・・・・・・」
息子の不登校に悩む母親が、おそるおそる打ち明けてきた。
第6章 死者の夢
「お母さん、心配しなくていいよ。きっと、うまくいくからね」
夢に現れたのは、一五年前に亡くなった息子だったのか!?
第7章 読経の声が響き渡る
「 ぼくは、おばあちゃんの葬式に出て、みんなで正信偈読んだとき、泣いちゃったんですよね。お経でおばあちゃんにつながることができたって」
エピローグ
あとがき
坂井祐円[サカイ ユウエン]
著・文・その他
感想・レビュー
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ひめぴょん
西澤 隆
n yamamoto