人権教育のためのコンパス「羅針盤」―学校教育・生涯学習で使える総合マニュアル

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  • サイズ A4判/ページ数 433p/高さ 30cm
  • 商品コード 9784750324609
  • NDC分類 375
  • Cコード C0037

出版社内容情報

人権教育とは何か? またその目的は? 一般的人権から、民主主義、平和と暴力、貧困、環境、ジェンダー等個々の問題を概説し、教育現場で実践できるアクティビティを加えた決定版。

第1章 人権教育とコンパス 実践のための簡約ガイド
・人権教育を理解すること
 人権教育とはなんでしょう?/人権教育の成果/知識、技能および態度/包括的なアプローチ/青少年を対象とする人権教育/フォーマル教育およびノンフォーマル教育における環境/行動のための出発点としての人権教育/人権教育のための国際的支援
・人権教育と他の教育分野
 人権の世界/「人権問題」とはどんなものをいうのでしょう?/このマニュアルで取り上げられる論争的問題/市民性教育/人格および社会性教育/グローバル教育/異文化間教育/開発教育/環境教育/平和教育/法に関する教育
・ヨーロッパ全体で『コンパス』を使用すること
 ヨーロッパとはなんでしょう? また、ヨーロッパとはどこなのでしょう?/ヨーロッパのための本?/ヨーロッパの一つの夢/青少年活動と青少年評議団/子どもの権利に関する条約/制作の過程/文化と言語のちがいを越えたマニュアルの使用
・『コンパス』の使用法
 このマニュアルの使用法/教育的アプローチ/人権教育についてよく出される疑問/ユーザーへのアドバイス/促進に関するアドバイス
第2章 人権教育のための49の実践的アクティビティーと方法
 アクティビティーの概要図/アシケ君の話/明日が来ても/あなたの立場は?/一歩前へ進め/生命の網の目/インターネットの影響/演じてみよう/家庭内の問題/完全な世界における生活/関連づける/グローバル化の用語辞典/権利のための闘士/権利ビンゴ/言葉の壁/「言葉を絵に描く」ゲーム/子どもの権利/ご用心! ちゃんと見てますよ!/仕事と赤ちゃん/人種差別への対応/すべての人のための教育?/すべての人のためのスポーツ/性について話し合おう/選挙運動/第一面/治療薬を手に入れる権利/使えるお金/投票すべきか、棄権すべきか/どの意見も聞かれるように/富と権力をめぐる闘争/入国してもいいですか?/能力を認めて!/発電所/ピクチャーゲーム/一晩で庭園を/平等の国への道/ヒロインとヒーロー/貧困の星占い/フェアプレーで行こう!/二つの都市の物語/不平等な賃金/別な手段がありますか?/ほんの1分間だけ/マカ族の捕鯨/みんな平等、でもみんなちがう/労働組合会議/わたしが経験した暴力/わたしたちのさまざまな未来/わたしはだれとだれでしょう?
第3章 行動を起こすこと
 行動を起こすこと
第4章 人権に関する参考情報
・人権の理解
 人権とはなんでしょう/人権の歴史概要/世界の中の人権/どのように権利を使用することができるのでしょう?/人権のジレンマと乱用/まだまだある謎
・人権の発展
 わたしたちはどんな権利を持つのでしょう?
・人権の法的保護
 重要な国際人権文書/人権の強化/これで十分でしょうか?
・行動を起こすことおよびNGOの役割
 成功した行動の例
・質問と答
 さまざまな難問
第5章 グローバルなテーマに関する基礎情報
 環境/教育/グローバル化/健康/子ども/差別と外国人に対する偏見/市民権/社会権/スポーツ/男女平等/人間の安全保障/貧困/平和と暴力/民主主義/メディア
付録 国際人権文書
 主要人権条約批准状況
 世界人権宣言(要約)
 世界人権宣言
 市民的、政治的権利に関する国際規約(ICCPR)(非公式の要約)
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(ICESCR)(非公式の要約)
 子どもの権利条約(非公式の要約)
 ヨーロッパ人権条約(非公式の要約)
 人権および基本的自由の保護のための条約(ヨーロッパ人権条約)
 ヨーロッパ社会憲章(要約)
 国内のマイノリティー保護のための包括条約(要約)
 地方言語またはマイノリティー言語のためのヨーロッパ憲章
訳者あとがき

序 文
『コンパス』:青少年に対する人権教育用マニュアルへようこそ!
 このマニュアルは、青少年に対する人権教育に思い切って取り組もうする方々に、さまざまなアイデアやインスピレーションや動機を与えてくれることでしょう。『コンパス』は、ヨーロッパ人権条約の50周年記念に際し、2000年に開始されたヨーロッパ評議会青少年・スポーツ理事会の人権教育青少年プログラムの一環として制作されました。このプログラムは人権を青少年教育の中心に位置づけることにより、人権教育を本流に組み込むことに貢献しようとするものです。
 人間の尊厳の平等を促進することに焦点を置く教育プログラムおよび教育活動という意味での人権教育には、すべてのヨーロッパ人にとって、重要なヨーロッパ的特質を持つ市民を形成するうえで計り知れない大きな価値があります。異文化間教育、参加、マイノリティーおよびマイノリティー出身の青少年のエンパワーメントなどのヨーロッパ評議会青少年・スポーツ理事会の他の教育プログラムと関連づけて発展させるならば、人権教育には行動の促進剤となり、協同作用の源泉となる可能性が秘められているのです。青少年育成におけるノンフォーマル教育(社会教育などの非定型的教育)にかかわっている人々は、人権の普遍性、不可分性および譲渡不可能性、ならびに今日の青少年にとってこれらが意味することがらに関連づけながら、人権の発展、実践および課題を考慮することができなければなりません。
 青少年・スポーツ理事会は、特にヨーロッパ青少年センターおよびヨーロッパ青少年財団を窓口として、異なる文化的環境においても、またフォーマル教育(学校教育などの定型的教育)においてもノンフォーマル教育においても使用できる教育方法ならびに教材を開発するための高度な専門的知識を持つことで、確固たる評判を得ています。多くの有能な協力者を持つ青少年・スポーツ理事会の活動は、「みんなちがっても、みんな平等」という青少年向けのキャンペーン、そしてその長期的トレーニング・プログラムのようなさまざまなプロジェクトの反響は、著しくヨーロッパ的でありながらも、草の根レベルではきわだった重要性を持つさまざまなプロジェクトの開発に貢献してきました。
 ヨーロッパおよび世界のさまざまな地域における最近の出来事は、平和と人権の文化の基盤をおびやかしています。そのような出来事は、より目に見えるかたちの明確で意識的な人権教育へのアプローチが緊急に求められていることを示しています。
 こうした事情をふまえて、人権教育青少年プログラムは、次のような目的を掲げています。
・人権教育を青少年教育の主要課題の中に位置づけること
・人権教育の一形態として青少年対象のノンフォーマル教育を評価し、発展させること
・人権教育およびヨーロッパの市民社会にとっての基本的リソースとして、青少年や青少年組織を評価すること
・今日のヨーロッパにおける青少年および社会文化的現実が持つ多様性を尊重しつつ、人権教育についての広い理解を促進すること
・ノンフォーマル教育領域およびフォーマル教育領域におけるさまざまなパートナーとの新しい協力的なネットワークと相乗作用を発展させること
・全国的レベルおよび地域的レベルでの人権教育実践者およびパートナーと連携して最大限の「増殖的効果」を追求し、達成すること
・人権教育に基づいた青少年教育のための新しい手段とネットワークをヨーロッパ全域における人権教育実践家に提供すること
・異文化間教育、ノンフォーマル教育、青少年の参加・研究の領域における蓄積されてきた経験を統合すること
・教育方法とメディアの革新を考慮すること

人権教育実践者のためのコンパス(羅針盤)
 『コンパス』は、地域的な実験プロジェクト、全国レベル・地方レベルのトレーニング・コース、さまざまな形態の暴力に関する特別な教育活動などへの支援をも含むこの人権教育プログラムの中核をなすものです。『コンパス』の中心的目的は、「これまでとはちがう」マニュアルとか、人権教育のための新しいアプローチや提案を提示することにではなく、青少年教育活動に取り組んでいる教育者、ファシリテーター(司会者、世話役など)、指導者、教員、ボランティアおよびトレーナーにとって人権教育を取り組みやすくて実践可能、かつ有益なものにすることにあります。『コンパス』は、人権教育に関心を持つ実践者や教育者たちがよくいだく「人権教育をどう進めればよいか」という問いに対する、控えめながらも野心的な一つの解答なのです。
 人種差別と不寛容に対する1995年のヨーロッパ青少年キャンペーン、「みんなちがっても、みんな平等」の教育活動を通して得られた経験から、この種の全ヨーロッパ的教育プロジェクトが成功するか否かは、明らかに次のようなことがらにかかっていることがわかります。
・たとえば、「みんなちがっても、みんな平等」教育パックのような、適切で利用可能な教育方法論および教育手段が利用できること
・そのような教材の自国語版が入手できること
・全国レベル、地方レベルおよび地域レベルで活動したり普及させることができるトレーナーや実践的普及者が存在すること
 『コンパス』はこうしたニーズに応えるものです。『コンパス』はヨーロッパ評議会によって英語、フランス語およびロシア語版が出版されていますが、他の言語への翻訳や、状況に応じた改造が奨励されています。全国レベルならびに地方レベルでトレーニング・コースを組織することにより、トレーナーや教育者たちがマニュアルに精通し、『コンパス』が確実に各地域レベルの学校、協会および青少年グループにまで行き届くようにされるべきです。『コンパス』には、行動につなげるための本としての意味があります。

『コンパス』の内容にはどんなものがあるのでしょう?
 制作チームは、専門家グループからこのマニュアルの内容をできるだけ完璧で広範にわたるもの(これは、どんな人であっても、自分の関心事ややるべき活動をマニュアルの中に見いだせるようにするためですが)にする権限を与えられました。そこで、次のような方針が立てられました。
・使用者がマニュアルの全体を読み通していなくても、とにかく使用できるものであり、また、ファシリテーターは、自分が直接的に扱おうとするアクティビティーに関連する箇所だけを読めば、他のところは読まなくても、そのアクティビティーを実行できること。
・あるテーマを扱うのに不安を感じるようなファシリテーターにとって、必要最小限の補助的情報がすでに組み込まれている(『コンパス』さえあればとりあえず十分である)こと。
・きわめて実践的で、経験的な活動に基づいていること。
・魅力的で、ヨーロッパの青少年の関心事を反映していて、かれらの知識や能力ばかりでなく、社会的技能および態度を発達させる手段であること。
・(たんに)諸条約の中に書いてある形式的なさまざまな権利にだけではなく、むしろ価値や社会的問題に焦点を当てていること。
・フォーマル教育においてもノンフォーマル教育においても使用できること。
・「参考情報はあくまでも参考」として、まず初めにそれを読まなくても使用者はアクティビティーにとにかく取りかかることができ、裏づけとなる情報はいつでも参考にできることが理解されること。

この結果、『コンパス』は次のように構成されました。
第1章: 人権教育ということばでなにを意味しているかに精通してもらう。使用者を動機づけ、鼓舞し、また『コンパス』およびその教育的方法を最大限に活用するにはどうすればよいかの方法の紹介。
第2章: さまざまなレベルの複雑さを持ち、さまざまなテーマにわたる形態の異なる諸権利に取り組むための49種類のアクティビティー。
第3章: 「行動を起こすこと」をテーマに、人権の促進にいっそう積極的に取り組もうとする人々のためのアイデアやアドバイス。
第4章: 人権と国際的基準および人権文書に関する根本的な情報。
第5章: テーマに関する補足的な参考情報。
付 録: 人権は法にかかわるものでもあるので、法的文書についての根本的な情報を含める。

(中略)

 『コンパス』はあなたにとっての出発点とはなるでしょう。皆さんのご成功を祈り、また『コンパス』を楽しんで利用してくださることを願っています。

目次

第1章 人権教育とコンパス 実践のための簡約ガイド
第2章 人権教育のための49の実践的アクティビティーと方法
第3章 行動を起こすこと
第4章 人権に関する参考情報
第5章 グローバルなテーマに関する基礎情報
付録 国際人権文書

著者等紹介

福田弘[フクダヒロシ]
1944年、埼玉県生まれ。1974年、東京教育大学大学院教育学研究科博士課程修了。同年、国立教育研究所研究員(道徳教育研究室)。1977年~78年、交換研究員としてチューリッヒ大学に留学。奈良教育大学助教授、筑波大学教育学系助教授、筑波大学教育学系教授を経て、現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授、早稲田大学大学院非常勤講師。平成13、14年度文部科学省委託事業人権感覚育成プログラム研究開発委員会委員。平成15年度~現在文部科学省「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」座長。博士(教育学)道徳教育論、人権・平和教育論、教育思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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