出版社内容情報
これまで、ただ有り難いということだけで偶像化されてきた妙好人たちの他力実践者としての真実の姿を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
21
ひょっとすると、本を読んでる最中にアタマが発光していたのではないかと錯覚するような恍惚。現時点で2016ベストのイム本だ。念仏者の究極生物たる妙好人の生態と「非論理の論理」を大拙先生が明らかにする。大雑把な結論を言えば、念仏の極致は【ヒップホップ】になる。代表的妙好人・才市は「ざんぎ(慚愧zangi)くわんぎ(歓喜kwangi)のなむあみだぶつ」と歌う。この私は、煩悩まみれの浅ましい存在であるが、そんな存在であるからこそ浄土往生が約束されている。この身ひとつ、背中合わせの慚愧即歓喜。素晴らしかった。2016/07/21
roughfractus02
7
稀有な念仏者は泥の中に咲く白蓮華に喩えられ「人中の妙好華」であるとされる(『観無量寿経』)。真宗の在俗の篤信者の中で著者が感嘆した妙好人は、煩悩があるからこそ菩薩心が起こるとして日々念仏し、他力の態度で生活した人々である。妙好人の他力は、自力の対立項のような言葉の操作を超えて、泥の中の白蓮華のように生じる。念仏は願おうとして唱えるのでなく、与えられるように出てくる。著者が真宗を深く学んだのは、この徹底した受動性が、各宗教に通底する神秘体験で得られる「即非の論理」の実践だからだろう。Aは非AだからAなのだ。2021/03/11
kera1019
1
読めない漢字も多くて調べながら読んでたんで、なかなかヘビィな一冊でした。妙好人である浅原才市、呼吸や聞く事すら自力だとして他力宗に一身をゆだねると言うけど、ここまで他力に徹底したら自分は一体何なんやろか… 他力に触れるといつもこの疑問にぶち当たる。2013/03/19