内容説明
神でもなく、仏でもなく、中世に突如顕れた牛頭天王。謎多きその信仰世界を、「中世神話」の視座から読み解き、その深層にせまる注目の書。
目次
第1章 牛頭天王信仰をめぐる研究史と本書の課題
第2章 祇園社祭神の変貌―卜部兼文・一条兼良・吉田兼倶の言説をめぐって
第3章 「感応」する牛頭天王―『阿娑縛抄』所収「感応寺縁起」を読む
第4章 陰陽道における牛頭天王信仰―中世神話としての『〓〓(ほき)内伝』
第5章 造り替えられる儀礼と信仰―『牛頭天王御縁起』(「文明本」)の信仰世界
結語
著者等紹介
鈴木耕太郎[スズキコウタロウ]
1981年、群馬県前橋市生まれ。2006年、立命館大学文学部人文総合科学インスティテュート総合プログラム卒業。2017年、立命館大学大学院文学研究科日本文学専修博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員、京都西山高等学校国語科非常勤講師、京都西山短期大学非常勤講師などを経て、現在、公立大学法人高崎経済大学地域政策学部地域づくり学科講師。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コウみん
1
牛頭天王は中世に現れた蘇民将来説話で疫病の神として呼ばれていた。 日本神話でも仏教にも関係ないこの神は一体何のか。 他の本では異端神ではないかと思う推測があるが、スサノオと同じ日本の神としても思われていた。 2021/06/13
ヨシツネ
1
うーむ研究史と方法論の立脚は堅いがやはり内容にもあるように史料の制約は如何とも。 中世神話を利用した研究にもう少し触れた方が解釈にも妥当性が増した気も とはいえまとまった内容の上ある程度暫定的に正体を置けるのは嬉しい2019/10/01
katashin86
0
明治の廃仏毀釈・神仏分離によって形としては消滅してしまった牛頭天王信仰を、中世の神話的テキストをもとに復元する試みの一冊。牛頭天王のそもそもの由来、祇園社の成り立ちと牛頭天王、さらにはスサノオの習合など、不思議に思われる数々の疑問への著者の見解は説得的。とても勉強になった。2021/10/15