内容説明
仁斎の古義学的刷新としての新たな思想世界を『語孟字義』解読によって開いて見せる。
目次
仁斎古義学のラジカリズム―『論語』から読むこと
第1章 古学先生伊藤仁斎の生涯と人となり―『先府君古学先生行状』を読む
第2章 「孔子の道」の古義学的刷新―『語孟字義』を読む(『語孟字義』とは何か;「天道」 天地の間は一元気のみ―「天道」第一条~第八条;「天命」 天の主宰性と天命観―「天命」第一条~第五条;「道」 道とはもともと人の道である―「道」第一条~第五条;「理」 理の字はもと死字―「理」第一条・第二条 ほか)
著者等紹介
子安宣邦[コヤスノブクニ]
1933年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)修了。文学博士。大阪大学名誉教授。日本思想史学会元会長。専攻、日本思想史、倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yo
3
伊藤仁斎の「語孟字義」を購読し、仁斎の古義学に迫る。仁斎は、政治哲学としての機能を持った朱子学から自立し、道徳哲学(というか倫理学)として論語を解釈し直した。その論語の解釈で補足的に使用できるのが孟子だという。その他は閲覧の価値なしとしてこの2つを究極のものと言い切る姿勢はかなりすごい。ただ、前読んだ本に出てきた「10人がわかり、10人が行えるものこそ道徳とするべき」的な考えが特別見えなかったのが疑問。一応、道徳は人と接する中で発生するんだみたいなことは言ってはいるけど。2016/10/16
きさらぎ
2
著者の市民講座をまとめた本。副題は「『語孟字義』を読む」。著者は2008年に講義を終えて以来、この原稿をずっと手許に置いていたという。「これで仁斎が読めたのか」という不満足感が常にあったからであり、それは著者にとっては仁斎特有の珍しい現象らしい。思想史学会の会長を務めた著者がそういうだけに、私のような初学者には中々手強い本で、上っ面の理解にも至らない部分が多々あった。ただ非常に誠実な本である、ということは言える。仁斎も著者も。それぞれが「誠を尽くして対象と向きあっている」と感じる。勉強して再読したい。2015/09/15
jiroukaja
0
四端の緒、朱子では中心に理がありその端と解釈しているが、仁斎は中心に人があり、四端の心を拡充していくと解釈している。関数的にはひっくり返そうだが、主体は中心におきたいよね。2020/06/02