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内容説明
朱子学を批判した『聖教要録』により、赤穂への流刑を余儀なくされた反骨の思想家。武士道論の提唱者、日本主義者、復古主義者、と様々に呼ばれてきた山鹿素行の思想の本質を明らかにする。
目次
第1部 復古の学の特質(復古の学の主張;朱子学の改造;素行の学の納得されにくさ)
第2部 素行の道徳観(武士の職分;人の職分としての日用;武士としての心構え)
第3部 用の思想の理論体系(統一的な理論体系を構成する概念;人の本性についての理論;客観界の物についての理論;まとめ―用の思想体系の言説化)
著者等紹介
立花均[タチバナヒトシ]
昭和27年(1952)福岡市に生まれる。昭和50年九州大学工学部生産機械工学科卒業。昭和58年同大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学(教育哲学)。久留米工業大学准教授。専攻は日本思想史学、教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NORI
20
冲方丁「天地明察」で登場した”山鹿素行"について調査。 朱子学における、「日用の工夫」現実的な議論と行動を重視する一方、「性心の工夫」形而上的観念的考察を批判し、排除を目指した。「道徳の実践には、そもそも形而上学的アプローチなど要らん!」←これが肝になっている模様。 人として十分に働き機能するように生きるのが善。欲望や怒りを否定滅却するのではなく、コントロールするのが聖人。人間の善悪を観念的に捏ね繰り回すな。そんな暇があるならば行動して実践的に善を示せ!それが道徳である!といった思想だったらしい。2024/06/15
半木 糺
3
江戸時代初期の思想家・軍学者の山鹿素行の思想を、主に朱子のそれとの相違点を中心に概説する書。朱子の思想はあくまで形而上学的な存在が前提であったのに対し、山鹿は徹底して目の前の現実世界の事物のみを問題とする。現実世界における事物の関係性を重視する思想を著者は山鹿の「用」というキーワードを用いて解明していく。やはり山鹿は儒教思想史上の人というよりも、日本固有の武士の思想史の中に位置づけられるべき存在ではないかと考えられる。2020/06/22