内容説明
利子の徴収や債権の譲渡が禁止された中世ヨーロッパにおいて、商人やマーチャント・バンカーらの外国為替取引と両替商の創造する預金通貨により信用貨幣が流通した中世貨幣市場の構造を明らかにし、近代貨幣市場考察の起点を提示する。F.ブローデル(序文)も絶賛する名著の待望の邦訳である。
目次
序章(本書の課題;先行研究への瞥見;為替手形発展の諸段階;為替契約と利子(usure)をめぐる教義)
第1章 起源から14世紀(ジェノヴァ等における銀行と為替の生成;ジェノヴァの公証人の公正証書略註に見られる初期の為替契約 ほか)
第2章 14‐15世紀における為替手形と貨幣市場の発展(為替手形―為替契約とその証明・履行手段;ダティニ文書に見られる典型的な為替取引の事例(1399年) ほか)
第3章 16世紀における貨幣市場の転換(貨幣市場の拡大と貿易の伸長;スコラ学説―その広がりと定着 ほか)
第4章 手形裏書の起源(問題の現状;中世における債権の譲渡可能性 ほか)
第5章 手形割引慣行(割引の用語の歴史;割引と徴利をめぐるローマ教会の教義 ほか)
結論
著者等紹介
楊枝嗣朗[ヨウジシロウ]
1943年10月生。大阪市立大学大学院修士課程修了。佐賀大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。