内容説明
英国ではSenior Management Regime(SMR)の新しい制度を導入し、金融機関における上級管理者を対象とする経営層の規律を図らんとしている。不正防止など守りの経営から独立社外取締役に関わる役割・機能・責任が議論されてきたが、企業価値創造を実際に担う経営執行陣に広く対象を拡大させており、我が国アベノミクスの第三の矢の中核をなす攻めのガバナンスとも軌を一にするもので、我が国のガバナンス改革においても大きな示唆となる。
目次
1 英国金融規制、Approved Persons RegimeからSenior Management Regimeへの転換
2 Senior Managementにかかる司法判断とソフトローの発展
3 上級管理者機能(SMFs)と英国金融規制の動向
4 コーポレート・ガバナンス・コード、非業務執行取締役、域外適用など国際私法の接点、ならびにソフトロールのルール化などのコード展開の試論
5 取締役会評価、攻めのガバナンス、英国における忠実義務の考察、ならびに統合的リスク管理(ERM)、リスクカルチャーとプルーデンス規制
6 2015年株主総会と攻めのガバナンスの実践、企業価値向上に向けたインセンティブと改革とSenior Management Regime(SMR)の接点、刑罰規定における規範化概念の進展と域外適用、Senior Management RegimeならびにSMFsとNEDの関係ならびに未調整項目の克服、Senior Management Regimeにおける忠実義務と攻めのガバナンス、報酬政策とガバナンス・フレームワークなど最新の動向と展望