内容説明
ホーフマンスタールは、ゴッホの描いた靴が道具としての靴ではなく、事物としての即自存在している靴であると知っていた。リルケもまた、ロダンの作品が芸術事物として不在を現前させていることを、また1907年のサロン・ドートンヌで視たセザンヌの絵画に不在の現前を視て、ミメシスとしての芸術作品を拒否していた。だがホーフマンスタールは、リルケの言う「姦淫はするが、けっして受胎することのない不妊の聴覚」で音楽を芸術作品としてとらえていた。果してこの二人の詩人の交流は。
目次
文芸書簡
註解
原書名・人名年譜補
解説 交流と反発の軌跡
著者等紹介
塚越敏[ツカコシサトシ]
ドイツ文学・慶応大学名誉教授。日本翻訳家協会理事
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。