出版社内容情報
「核兵器が現状維持を保つ効果あり」との仮説を提示し、「核兵器が軍事戦略と国際関係を革命的に変えた」という画期的な理論を展開した話題の書
核政治や核戦略研究の現代古典として「グロマイヤー賞」を受賞したThe Meaning of the Nuclear Revolution: Statecraft and the Prospect of Armageddonの全訳版。
著者のロバート・ジャーヴィス(1940‐2021、コロンビア大学教授、アメリカ政治学会会長)は、防御的リアリストとして「安全保障のジレンマ」、すなわち、ある国家の安全保障の向上は、他の国家の安全保障を低下させ、対抗措置を招く結果として打ち消されてしまうという基礎モデルを構築しただけでなく、認知心理学をいち早く国際関係分析に導入した政治心理学研究の第一人者。
◎核兵器の影響力により
「核保有国間の平和が保たれる」
「互いの関係を戦争の瀬戸際にまで悪化させようとはしない」
「核武装国間では危機でさえ起こりにくくなる」
「現状打破行動を防ぐ効果がある」
「核軍拡競争は、国家が確証破壊を可能にする第二撃能力を確立した段階で終わり、それ以上の核兵器の保有はムダになる」
ジャーヴィスの核革命理論は、多 くの研究者により妥当性が検証される一方、「核兵器が現状維持を保つ効果あり」との仮説には反論が寄せられるなど、話題性に富んでいる。
第1章?核革命の理論
矛盾と謎/拒否的抑止と懲罰的抑止/核革命/核革命で予想される帰結
第2章?戦略理論―何が新しくて、何が正しいのか―
戦略思想における継続性―ブロディ、ボーデン/古い良い考え/古い悪い考え/新しい良い考え/新しい悪い考え/なぜこれほどまでに変わらないのか
第3章?相互確証破壊は事実であり政策ではない―この議論を正しく理解するために―
MAD-1、MAD-2、MAD-3/MAD-4/状況と政策/反論
第4章?道義観と国際戦略
リアリストの伝統/道義、自制、自己利益/核革命/トレードオフを認識することへのためらい/道義と思慮分別
第5章?危機の安定性についての心理学的側面
心理学と危機の安定性/危機の不安定性/心理学と危機の安定性/戦争を不可避だとみなすこと:心理的要因/戦争は避けられないと考えるよう敵対国に仕向けてしまうこと:心理的要因/最初に攻撃を行う欲求に貢献する心理学的要因
第6章?核政治の象徴的な性質
心理的効果/核時代における象徴と政治/決意と信ぴょう性/任務を厳しくコ
内容説明
「核兵器が現状維持を保つ効果あり」との仮説を提示し、「核兵器が軍事戦略と国際関係を革命的に変えた」という画期的な理論を展開した話題の書。核政治や核戦略研究の現代古典として「グロマイヤー賞」を受賞したThe Meaning of the Nuclear Revolution:Statecraft and the Prospect of Armageddonの全訳版。
目次
第1章 核革命の理論
第2章 戦略理論―何が新しくて、何が正しいのか
第3章 相互確証破壊は事実であり政策ではない―この議論を正しく理解するために
第4章 道義観と国際戦略
第5章 危機の安定性についての心理学的側面
第6章 核政治の象徴的な性質
第7章 結論 勝利と敗北―核時代におけるクラウゼヴィッツ
著者等紹介
ジャーヴィス,ロバート[ジャーヴィス,ロバート] [Jervis,Robert]
コロンビア大学アドレー・E.スティーヴンソン教授(本訳書の原書の刊行当時)。1940年生まれ、2021年死去。カリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了、Ph.D.。ハーバード大学助教授・准教授、カリフォルニア大学ロサンジェルス校教授を歴任。アメリカ政治学会会長(2000‐2001年)。国際政治学、政治心理学、核戦略論、インテリジェンス研究などに従事
野口和彦[ノグチカズヒコ]
群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部教授。1965年生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了、博士(学術)。ブリティッシュ・コロンビア大学客員准教授、東海大学教授等を経て現職。戦略研究学会編集委員。国際関係論、安全保障論、戦略論、戦争原因論などの研究に従事
奥山真司[オクヤママサシ]
多摩大学大学院客員教授。1972年生まれ、英レディング大学大学院博士課程修了、博士(戦略研究)。拓殖大学大学院非常勤講師、国際地政学研究所上席研究員
高橋秀行[タカハシヒデユキ]
海上自衛隊幹部学校戦略研究室。2等海佐。1970年生まれ。拓殖大学大学院国際協力学研究科博士前期課程修了、修士(安全保障)。統合幕僚監部防衛計画部計画班等を経て現職。慶應義塾大学総合政策学部講師(非常勤)。軍事戦略論、国防政策(米国等)、無人機等新興技術などの研究に従事
八木直人[ヤギナオト]
海上自衛隊幹部学校講師(非常勤)/群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部講師(非常勤)。1955年生まれ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。ヘンリー・スティムソン・センター客員研究員、中曽根平和研究所主任研究員、海上自衛隊幹部学校教官、兼ねて横浜国立大学大学院(統合的海洋管理学)/慶應義塾大学総合政策学部/青山学院大学兼任講師等に従事。元1等海佐(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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