内容説明
戦争は女を“解放”したか。戦前・戦後をつらぬく被害と加害。
目次
1章 わたしのヒロシマ(首のある死体と首のない死体;“八月六日”とカネヘン景気 ほか)
2章 「銃後史」をあるく(勝ち戦と女の加害性;小泉郁子と「帝国のフェミニズム」 ほか)
3章 「大日本帝国」崩壊とジェンダー(“復員兵”と“未亡人”のいる風景;「混血児」問題と単一民族神話の生成 ほか)
4章 リブをひらく(交錯する性・階級・民族―森崎和江の“私”さがし;書評 女世界の豊かさ―産小屋とはひらかれた生に向かっての女の再生(森崎和江『産小屋日記』) ほか)
著者等紹介
加納実紀代[カノウミキヨ]
1940年7月ソウルに生まれる。1976年より「女たちの現在を問う会」会員として、96年までに『銃後史ノート』10巻(JCA出版)、『銃後史ノート戦後篇』8巻(インパクト出版会)を刊行。2002年から11年まで、敬和学園大学特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駒場
8
短めの論考や書評の詰め合わせだが、“戦場以外の戦争“が幅広く論じられている。口は出せないが「開戦の口実」には使われる婦女子、戦後混血児が「支配としてのセックス」を刻印された存在としてみられたこと、日本の女性史が「パンパン」当事者の声を十分活かせていないこと、中国に取り残された女は、中国人家族の同伴帰国が認められなかったこと(男は可能)。加納は女性の戦時における間接的な加害性についても書いているが、兵隊のサポートが生き甲斐だった「兵隊ばあさん」が戦後「自衛隊ばあさん」になっている話とかは、結構衝撃だった……2022/08/11