内容説明
ジョン・ベアドはヘミングウェイを専門とする、しがない大学教員。常人離れした記憶力の持ち主であるが、絵に描いたような学者バカ。学内政治に疎く、学者として出世する望みはほとんどない。そんなある日、キーウェストのとあるバーで論文をしたためていた彼は、詐欺師のシルヴェスター・キャッスルメインと知り合いになり、ヘミングウェイの小説の贋作作りを持ちかけられる。ヒトラーの日記やハワード・ヒューズの自伝など過去にも贋作事件の例はある、うまくすれば一攫千金も夢ではないのだ。最初のうちは気が進まなかったベアドだったが、ベトナム戦争で負傷し創作に手を染めるなど、自身の人生をヘミングウェイの生涯に重ね合わせがちな彼は、いつしか我知らずのうちに贋作作りに没頭してしまう。だが夢中になってタイプライターを打つ彼の目の前に、なんとヘミングウェイその人が現われたことから、事態は意外な方向へ進展していくのだった。消失したヘミングウェイ作品の贋作でひと儲けをしようという悪だくみに、パラレル・ワールドの幻想をからめたライトなSFコメディの世界。ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
56
作者に対し予備知識ゼロだったので、ヘミングウェイ絡みでどうして訳者が大森望氏なのか疑問に思ったが、成程こういう話だったのね。納得。コンゲームに、タイムパラドックス、パラレルワールド的なものが絡むという感じかな。私がヘミングウェイファンだったら、もっと楽しめたのにな。ロストジェネレーション作家って苦手なんだよ。2016/07/21
take
1
アイデア勝ちという側面も否めないが、現在までのところ今年一番のおもしろさ。アメリカ文学に詳しくなくてもすいすい読めるように料理されている、うまい2009/02/22