内容説明
夏目漱石の『吾輩は猫である』の主人公吾輩が、ビールを飲んでカメの中に落ちて、ナムアミダブツを唱えたけれど、酔いが醒めればカメの縁から這い上がってくる。独語教師・五沙弥入道宅に移して「猫」が見る人間模様を描く百〓版『吾輩は猫である』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
54
漱石の『吾輩は猫である』の続編パロディー。登場人物(登場猫)たちの掛け合いのテンポが良く、屁理屈だらけの何言ってるのかわからない感じが面白かったです。それにしても登場人物が多い。とても覚えられない。でも覚える必要もないかもしれない。五沙弥先生とたくさんの客人のやり取りを難しいことを考えずに流し読みするだけでも面白かったので。最後の大団円のバタバタ具合も好きでした。五沙弥先生愛されてますね。池の縁を右へ廻って、スタートに戻って、その後どうなるかをまた考えるのも楽しいです。2016/03/01
澤水月
8
戦後3年・実地に猫(ノラ)飼う前・わざわざ猫に名付け「アビシニア」(後に2人目の妻となる女性のあだ名想起!)など“漱石門下生による偉大な有名作パロディ”…のフリして掘ろうと思えば色々悩ましい作。執筆時には死者である人(風船画伯こと谷中安規)らも融通無碍に現れ、アレルゲンなど新し目の概念や「共産主義カブれ青年による新字新仮名遣い」の身辺雑記なども登場。そして「動かない方がうどん」など滅法面白いのがまた困る、原典超えに思える(五沙弥は寿命以外も勝ったという名付け?)。ラスト一文もオマージュ 読了9/222024/09/27
あつひめ
8
昭和25年の作品。日本の作家さんの生活臭がこちらまで届くよう。卓袱台や障子、たくさんの来客や酒盛り。カタカナの外国言葉がアチコチに散らばっていたり、現在では使われていない言い回しがあったり。作品の時代を感じる。でも、猫アビシニアンに対する作者の心はやわらかでいかつい顔とは対照的なような気がする。他の作品でも猫を扱った作品も書いているし、猫好きに悪い人はいない・・・みたいな親近感を感じた。夏目漱石の我輩は~のインパクトが強かったからのちのちいろんな我輩は××であるみたいな作品がたくさん登場する。それだけ、こ2010/03/09
月見里
3
登場人物が多すぎて名前を覚えるのが大変。言い回しが面白かったです^^2009/07/01
夜游の月
1
最初はどんな作品だろうかといぶかしがりながら読んでいました。 ダジャレとアイロニー満載で、ニヤニヤ笑いながら読みました。 でも、油断しているとヒヤッとさせられます。言い回しも面白く、楽しく読みました。2022/06/06