出版社内容情報
幻想的な美しさにあふれる鶴女房のお話の決定版。若者と鶴との哀しい物語が、数ある再話を凌駕する洗練された文章と目もあやな画面ですばらしい絵本になりました。
<読んであげるなら>5・6才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうゆうpanda
46
<読み聞かせボランティア・対象3年生>『つるの恩返し』は助けてもらったお礼ですが、こちらはそれよりもっと切なく深い物語です。なぜなら鶴は、助けてくれたよ平のことを「したわしい」と思ってしまうからです。控えめに見える新妻の命がけの愛の話。最後に織った反物は所々紅のように輝き、恐ろしいほどの美しさです。紅色は血の色だから。正体を知ってしまったよ平。優しいけれどダメな夫にそれでも鶴は優しい声で語りかけます。「末永くお幸せに」と。時間が経つと茶色の布に変色してしまうかもと思った私とは正反対の優しく美しい妻でした。2017/01/11
chiaki
44
寝る前の読み聞かせ。これまでに読んだ、どの『つるの恩返し』も敵わない程の、美しい絵と文に深く感じ入りました。長女も珍しく余韻に浸り、「身を削って織った布と知って、よ平は最後、残された布を売ってしまうんかなぁ」と考え込んでいました。「貧しくても二人でいることが幸せと感じられたのに、なんで気付けなくなるの?」とも聞かれ、思わず私の方が涙してしまいました。あれもこれもと欲を出して欲しがり、本当に大切なことを忘れてしまう…その人間の姿は『はなたれこぞうさま』にも通ずる所があるなぁと、親子で話しました。2021/09/16
gtn
36
単なる恩返しならば、一反織り上げたところで、姿を消しても良かっただろう。なのに、与平のもとに居続けたのは、愛情の故。そして、偏見に惑わされない心広き人と信じたから。なのに、ふとした好奇心と物欲から、出自を暴こうとした与平。しかも、それが、つるの幸福と存在理由を脅かす行為であると自覚していない。愛する者が、世間同様俗物、いや敵であることに気付いたつるの無念と悲しみは如何ばかりか。愚かなことだが、人は未だにこんな悲劇を繰り返している。2022/08/21
ちえ
30
矢川澄子再話 赤羽末吉画。言葉も絵も美しい。物語の終わり最後の絵、悲しみが切々と胸に迫る。先月行った「赤羽末吉展」ではこの本の絵葉書があり購入。2023/11/12
たーちゃん
26
素敵な絵、素敵な言葉たちが作り出す物語でした。息子は途中から少し退屈している様子でした。もう少し大きくなってからまた読みたいです。2021/09/21