出版社内容情報
幻想的な美しさにあふれる鶴女房のお話の決定版。若者と鶴との哀しい物語が、数ある再話を凌駕する洗練された文章と目もあやな画面ですばらしい絵本になりました。
<読んであげるなら>5・6才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
257
矢川澄子・再話、赤羽末吉・絵。よく知っているお話だが、こうしてあらためて読んでみると、「あはれ」な感覚がひしひしと心を浸す。よ平の持つ人間的な宿命としての「あはれ」にも共感するのだが、鶴の娘の哀しみはそれを遥かに超えたところにあるようだ。あるいは、それは永遠に繋がるものであるのかもしれない。宿命よりも、もっと根源的な何か。最後に鶴が飛び去って行く姿は、まさに喪失の哀しみを歌い上げる。矢川澄子の語りは、抒情を湛えて美しい。赤羽末吉の絵は、ましてこれ以外には想像できないくらいに相応しいもの。2025/12/23
chiaki
46
寝る前の読み聞かせ。これまでに読んだ、どの『つるの恩返し』も敵わない程の、美しい絵と文に深く感じ入りました。長女も珍しく余韻に浸り、「身を削って織った布と知って、よ平は最後、残された布を売ってしまうんかなぁ」と考え込んでいました。「貧しくても二人でいることが幸せと感じられたのに、なんで気付けなくなるの?」とも聞かれ、思わず私の方が涙してしまいました。あれもこれもと欲を出して欲しがり、本当に大切なことを忘れてしまう…その人間の姿は『はなたれこぞうさま』にも通ずる所があるなぁと、親子で話しました。2021/09/16
ゆうゆうpanda
46
<読み聞かせボランティア・対象3年生>『つるの恩返し』は助けてもらったお礼ですが、こちらはそれよりもっと切なく深い物語です。なぜなら鶴は、助けてくれたよ平のことを「したわしい」と思ってしまうからです。控えめに見える新妻の命がけの愛の話。最後に織った反物は所々紅のように輝き、恐ろしいほどの美しさです。紅色は血の色だから。正体を知ってしまったよ平。優しいけれどダメな夫にそれでも鶴は優しい声で語りかけます。「末永くお幸せに」と。時間が経つと茶色の布に変色してしまうかもと思った私とは正反対の優しく美しい妻でした。2017/01/11
gtn
38
単なる恩返しならば、一反織り上げたところで、姿を消しても良かっただろう。なのに、与平のもとに居続けたのは、愛情の故。そして、偏見に惑わされない心広き人と信じたから。なのに、ふとした好奇心と物欲から、出自を暴こうとした与平。しかも、それが、つるの幸福と存在理由を脅かす行為であると自覚していない。愛する者が、世間同様俗物、いや敵であることに気付いたつるの無念と悲しみは如何ばかりか。愚かなことだが、人は未だにこんな悲劇を繰り返している。2022/08/21
ちえ
30
矢川澄子再話 赤羽末吉画。言葉も絵も美しい。物語の終わり最後の絵、悲しみが切々と胸に迫る。先月行った「赤羽末吉展」ではこの本の絵葉書があり購入。2023/11/12




