内容説明
「愛し、愛される、これが理想である。ただし、同一人物について、という条件が必要だろう。」―淡い光と影のなかを揺れまどう若者たちの姿を描いたみずみずしい青春小説。原題のLe Grand ´Ecartとはバレー用語で「両脚を広げて床にぴたりとつけること」であるが、幼い少年が一人の青年へと成長していく暗喩にもなっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
79
澁澤の訳を愛でる本なのかもしれない、と思ったり。内容については解説にも殆ど触れられておらず、訳についてばかりが書かれてあった。大胆な印象のタイトルはバレエ用語からで、原題のグラン・テカールとは両脚を180度開脚する動作。少年から青年への成長の暗喩とのこと。田舎から出てきてパリの下宿で暮らす初心なジャック。友人や親との関係、恋愛感情など思春期における繊細な彼の心理が詩的に描かれている。が、実のところ表現が綺麗すぎて話がなかなか入ってこなかった。内容よりも随所に現れる美しい表現を繰り返し読んで味わった。2021/10/22
双海(ふたみ)
23
これが25歳の翻訳だと思うと・・・ただ驚くばかり。いまの仏文科学徒に澁澤の真似ができる人、いるのかな。熟語・成句の蓄積量が並ではない。2015/02/02
しょこ
3
メリハリのある起承転結とスピードを落とさずに進む話の展開は、若々しくて危なっかしい感じがする。そんな速い流れの中でも、思わずキュッとブレーキをかけてしまうような、無防備で美しい表現にたびたび出会う。物語の内容は月並みな失恋物語なのだけど、なぜか壮大な悲劇を堪能した気分。2013/09/11
紺青
1
小説の最後「それを避けることができる」という言葉に感化された主人公。直後に、クビになったばかりの人が楽しそうにしているのを見て戸惑う主人公。 人生って世の中って大変だし、よく分からないし、ああもうっ…て感じだよね、と共感。2024/11/12
agri
1
流れていく青春の愛より産出される想い2009/05/28