内容説明
「マジメ精神の充満した社会の、油のききすぎた歯車のなかに砂利を投げこむこと」を無上の喜びとしたアレーの傑作短篇集。ブラック・ユーモアよりさらに過激なその笑いは、ブルトンをして「エスプリのテロリスム」と呼ばしめた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
16
19世紀中葉から末にかけて活躍したフランスの作家である。この本は日本で1986年に編まれたもので、俺は2001年に一度読んでからはそのままだった。今回が2回目だが、うーん、ちょっと俺の力ではどうも今回は読めなかったかなあ。アレーという作家が書いているんだけど、俺には今回はほとんどわからなかった。また10年後くらいに読んでやる。うーん、アレー、というかフランスの作家はちょっと俺には今はなあ。まあまた10年くらい経ったら読もう。2019/03/18
takeakisky
1
ニヤリとその皮肉に口の端を歪める。次の瞬間、思わず笑ってしまった自分の悖徳ぶりに心中穏やかでなくなり、そっと周りを見る。出版社をかえて二度も復刊されているのだから大したもの。いまは白難解のみすず書房が出していて、品切。なんだか言い訳がつく気がしてくる。と、とと、収録作が、増えている…。これで出帆社とこの本と三冊ともが本棚に並ぶことになってしまった。どうとでもとれる、どうとったらいいか分からないものの中には、今でも力を失わないものがある。読む価値あり。ステンド・グラスなんかは、何度読んでもいい。2025/03/16
madhatter
1
再読。短いコントを四十八篇も収録した傑作集。エスプリの効いた、黒い笑いがいかにもフランス人らしい。物語性よりも発想で勝負しているようだ。ただ、非常に面白い作品集なのだが、この手の作品は一気に四十篇以上も読むものではないとも感じた。いかに機知に富んでいても、それも続けば次第に飽きてしまうし、著者が発想を衒っているような気がし始めて(出たよおフランス嫌い)、読み終えた時はやや食傷気味だった。毎日寝る前に二、三篇くらいずつ読んで楽しむべき書物だと思う。2010/08/06
あなた
1
この福武文庫も珍しいことこの上ないが、とにかく非常に面白いコント集。コントを何千本と書いた2009/07/07
okadaisuk8
0
19世紀フランスで活動した作家のブラックユーモア作品集。そこまでひねりを利いている訳でもないが、作者の性格の悪さがにじみ出ていたり、グロテスクでシュールレアリスムに通じる摩訶不思議な感触をもたらす数編が特に興味深い。後書きによると、アレーは薬屋のせがれで、下剤入りキャンディーをクラスメートに配ったりよく問題を起こしたりしたらしい。数ページの小品ばかりだが、そういうエピソードを知って読み返すと、シンプルな文面から狂気がほのかに薫る気がして読む愉しみも増すねえ。 2015/12/27
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