杢二の世界

杢二の世界

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  • サイズ B6判/ページ数 263p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784828821092
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

165
第90回(1983年)芥川賞。 波長の合わない 末弟 杢二の奇妙な存在感が 印象的な作品である。 特別な事件があるわけでもなく、 人付き合いの苦手な杢二を兄の視点で 淡々と描く…ひどく 古風な展開が 逆に 心を落ち着かせる…そんな印象だった。2017/11/05

kaizen@名古屋de朝活読書会

119
【芥川賞】年の離れた兄が、弟、杢二(もくじ)の足跡を辿る。寂しさ、しずけさ、侘しさ。たんたんと。暗いところが芥川賞なのか、文章表現力が芥川賞なのか。2014/02/02

ヴェネツィア

80
1983年下半期芥川賞受賞作。高樹のぶ子「光抱く友よ」との同時受賞。この期の候補作には刈干あがたや、島田雅彦の作品なども上がっていた。そうした中での受賞なのだが、30年も経った今となってみると、この「杢二の世界」は、いかにもインパクトが弱いという感は否めない。小説は、主人公の視点から年の離れた弟の杢二が語られるのだが、無為徒食(少なくても周辺からはそう見える)に過ごす、彼の孤独に共感性を寄せる者はいない。そして、安定した社会生活を送っているはずの、主人公自身も孤独に向き合わざるを得なくなるのである。 2014/01/02

hit4papa

37
芥川賞を受賞したタイトル作を含む短編集。「杢二の世界」は、仕事場のビル屋上から墜落死した弟 杢二の今を知り、彼への思いをあらたにする物語です。杢二は、常識人からは少々ズレた感性のもち主で、主人公である兄の妻、子に疎まれています。そんな杢二の死を知った主人公は、彼に関する記憶を呼び起こします。淡々と弟の死を受け入れた主人公が、過去を辿りそして弟の今を知るにつけて、彼の中にある世界に触れるのです。親兄弟であっても内なる世界観が共有されてはいない。うかがい知れない内なる世界という当たり前の現実に気づかされます。2024/10/04

大粒まろん

23
古風な文体。読める構成ですが、尻切れトンボ気味。現実味がなく仕事が続かない他人から見れば夢想家の弟、杢ニを少し冷めた目線で生温かく見守る兄の淡々とした語りとその弟と同棲していた女性との会話で進む物語。ベースにあるのは弟への漠然とした不安感と妬みのような感じだろうか。兎に角、兄の負の願望が人としてどうよ!?と思う。確かな文章力ではあるものの、杢ニの世界と言うほどの世界観は伝わらなかった。兄が抱く弟の生き方への嫉妬や優越感といった比べてしまう心が、何ともさもしくて嫌だゎー。2023/09/06

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