目次
第2部 南北朝と天皇(承前)(後期天皇制の創立へ;安定を欠いた後醍醐帝の親政;後醍醐帝と新田義貞;日本的終末論;正統論、「名」と「実」と;天皇の『策略』、武士団の『大臣論』;「象徴」天皇を志向する『太平記』;“第三者の目”が見た建武中興;タブーに触れた北条高時;『神皇正統記』に影落とす『資治通鑑』;後醍醐天皇の死と革命幻想;『太平記』の世界と日本人)
著者等紹介
山本七平[ヤマモトシチヘイ]
1921(大正10)年、東京に生まれる。42(昭和17)年、青山学院高等商業学部を卒業。44(昭和19)年太平洋戦争でマニラに上陸。45(昭和20)年フィリピンのカランパン捕虜収容所に将校として収容される。翌年12月31日最後の帰還船で九州、佐世保に到着。戦争中の栄養失調と多くの疾病によって生涯にわたり健康をそこなうことになる。58(昭和33)年、山本書店を創立。山本書店主として主に聖書関係の出版物の刊行を続けるかたわら、評論家としても活動。91(平成3)年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うちこ
3
世に残された歴史の記述って、その著者の中にある思想を読み解くことを意識的にやっていくとここまで読めるんですね。圧倒されました。上巻にひきつづき夏目漱石の「こころ」の「K」と後醍醐天皇がもつ共通の支配力についての記述がありますが、全体としては「太平記」の世界の読み解きに引き込まれます。わたしはこの時代の歴史に明るくないのでスラスラとは読めませんでしたが、「ついていきたい」と思わせる凄みがありました。2015/01/30
すーさん
2
「神皇正統記」や「太平記」を題材に、光厳院のために著されたこの2冊の書物が明治期や昭和戦前期に尊王攘夷、皇国史観で利用されたが、それは正しい解釈ではない。この2冊の書籍の著者は中立な立ち位置で南朝にも北朝にも与せずに客観的に事実を書いているように見える。 2020/04/05
早田 隆嶺
0
平安時代〜敗戦の歴史の流れがしっかり頭に入ってないとわからない。でもおもしろいんだよなあ。日本人を呪縛する何かを探り当てるスリリングさ。2020/06/07