内容説明
「熊野とは?」と問われたとき、多くの人は樹木に覆われた古道、堂々たる造りの社殿、そして「蟻の熊野詣」と評された、あまたの人々が参詣する姿を想像するであろう。だが、それは中世以降の熊野の姿であり、古代の熊野に思いをはせることは容易なことではない。本書は、熊野の語源・領域・神話・信仰、そして熊野とみやことの関係といった視点から、古代熊野の原像に思いをめぐらせる。
目次
序章 熊野の概念(熊野名義考;熊野と牟婁;紀伊国と熊野の和名抄郷)
第1章 熊野をめぐる神話(巨岩遺跡花の窟の祭祀;国譲り神話と熊野諸手船;神武東征神話の再検討)
第2章 古代熊野の信仰(律令国家祭祀と熊野参詣;熊野参詣の実像;「為房卿記」にみえる熊野参詣;道成寺物語にみる古代の熊野)
第3章 熊野とみやこ(古代熊野への道程;熊野国造の源流;有間皇子事件の再検討;永興禅師小伝;熊野直広浜の生涯)
著者等紹介
寺西貞弘[テラニシサダヒロ]
1953年4月大阪府摂津市に生まれる。1978年3月関西大学文学部史学科卒業(日本古代史専攻)。1989年3月関西大学大学院博士課程後期課程修了、文学博士。職歴―1984年11月和歌山市立博物館学芸員。のち、同館学芸課長、副館長を経て2002年4月和歌山市立博物館館長(現在に至る)
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