出版社内容情報
17世紀の中葉、T.ホッブズは国家を「リヴァイヤサン」という怪物になぞらえ、理想的な国家を描いて見せたが現代国家の財政はホッブズの時代と比較にならないほど巨大化し、多様化し複雑に錯綜している。現代国家の財政を欧米資本主義国と比較しつつその構造的特質と運動を解明した現代財政論の新展開。
参考/序章 現代財政の成立と日本財政の特質―1890年~1960年―/1.経費の膨張傾向:社会サービス費に起因/2.税制の転換:所得税の基幹税化/3.日本財政の特異性/1章 社会保障費を軸とする経費の膨張と抑制/1.膨張過程から調整過程へ/2.純粋公共財の低下、準公共財の上昇/3.社会保障給付費、防衛費、一般政府固定資本形成の再考察/2章 国民負担―増大から抑制へ―/1.国民負担率の上昇と歯止め/2.租税収入の推移/3.租税にかんする若干の再検討/3章 変容する国と地方の財政関係/1.経費関係の移り変わり/2.収入関係の移り変わり/3.行財政改革による補助金の抑制/4.国家財政より軽い地方財政の赤字率/4章 財政収支の変動と公債の累積/1.一般政府の構造的財政赤字/2.中央政府の構造的財政赤字/終章 現代財政の構図/1.現代財政の変遷/2.現代財政の枠組み/あとがき
内容説明
17世紀中葉の内乱期に身をおいたT.ホッブズは、国家を「リヴァイヤサン」という怪物になぞらえ、強力な主権を頭悩とし、国庫を心臓、歳出を動脈、歳入を静脈、そして貨幣を血液とする理想的な国家を描いて見せた。現代国家の財政は、ホッブズの時代とは比較にならないほど巨大化・多様化し、複雑に錯綜している。1970年代から90年代初頭にかけて戦後体制の国際的枠組みが崩壊し、世界経済の構造的変換が現代国家の財政に大きな影響を及ぼしている。日本の国家財政を欧米資本主義国家と比較しつつその構造的特質と運動を解明した現代財政論の新展開。
目次
序章 現代財政の成立と入本財政の特質―1890年~1960年
1章 社会保障費を軸とする経費の膨張と抑制
2章 国民負担―増大から抑制へ
3章 変容する国と地方の財政関係
4章 財政収支の変動と公債の累積
終章 現代財政の構図