ブラックスワンの経営学―通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ

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ブラックスワンの経営学―通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ

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  • サイズ A5判/ページ数 280p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784822250294
  • NDC分類 335
  • Cコード C0034

出版社内容情報

ここに、1つの逆説的な事実があります。前述したようにマネジメントの学会では、現在の統計学の大ブームが起こる前から統計学をベースにした研究が主流であり、多くの論文が学術雑誌に掲載されてきました。記憶に残らないような示唆しかもたらさない仮説であっても、それを検証できれば掲載されるという統計調査の方が有利で、掲載比率では、全体の約9割を占めています。つまり事例研究の掲載比率は1割にも満たないのです。量的には存在感が薄いといえるわけです。
しかし、その反面、ベストアーティクルとして学会賞を受賞するような論文となると、事例研究の存在感がぐっと増します。最近の傾向を見ると、米国の学会、アカデミー・オブ・マネジメントが発行する『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル』(Academy of Management Journal、通称AMJ)では約50%が事例研究によるものです(2000年代から2013年現在)。マネジメント関連で、権威ある学術雑誌として名高い『アドミニストラティブ・サイエンス・クオータリ』(Administrative Science Quarterly、通称ASQ)では、発行後の5年間の影響力を評価して最優秀論文賞を決定しますが、受賞論文の約70%を事例研究が占めています(2000年以降から現在)。
(中略)

第1章 「UFOが来る」と信じる人にも理由がある
因果関係を解き明かす事例研究の力

第2章 凋落した教会で起きた「例外的な再生劇」
通説を覆した「たった1つの事例」

第3章 新聞社の意思決定に生じた「ねじれ現象」
脅威に直面したときの「慣性の法則」

第4章 ハリウッド脚本家の「創造性判定」
無意識に行われている「2つの判断プロセス」

第5章 「優れた医療イノベーション」が普及しない理由
専門家集団を遮る「見えない壁」

第6章 ベンチャー企業のM&Aにおける「裏切り」
売り手と買い手の「信頼」の非対称性

第7章 ビジネスの実務に役立つ事例研究の方法
「こだわり」と「わりきり」の選択

【著者紹介】
早稲田大学 商学学術院 教授。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了(経営学博士)。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授、早稲田大学商学部助教授(大学院商学研究科夜間MBAコース兼務)などを経て、2008年より現職。2011年9月より独立行政法人経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、2012年4月から2014年3月までペンシルバニア大学ウォートンスクール・シニアフェローを兼務。2003年経営情報学会論文賞受賞。専門分野は、競争戦略とビジネスシステム(ビジネスモデル)。主な著書に、『模倣の経営学』(日経BP社)、『情報技術と事業システムの進化』(白桃書房)、『事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位』(共著、有斐閣)、『変貌する日本企業の戦略インフラ』(共編著、白桃書房)、『収益エンジンの論理―技術を収益化する仕組みづくり』(編著、白桃書房)、『キャリアで語る経営組織』(共著、有斐閣)がある。

内容説明

ケーススタディは経営学の最強スキルである。統計的分析ではわからない因果関係を解明する方法とは?世界で最も影響力のある経営学会、アカデミー・オブ・マネジメントが選んだ最優秀論文に学ぶ。

目次

第1章 「UFOが来る」と信じる人にも理由がある―因果関係を解き明かす事例研究の力
第2章 凋落した教会で起きた「例外的な再生劇」―通説をくつがえした「たった1つの事例」
第3章 新聞社の意思決定に生じた「ねじれ現象」―脅威に直面したときの「慣性の法則」
第4章 ハリウッド脚本家の「創造性判定」―無意識に行われている「2つの判断プロセス」
第5章 「優れた医療イノベーション」が普及しない理由―専門家集団を遮る「見えない壁」
第6章 ベンチャー企業のM&Aにおける「裏切り」―売り手と買い手の「信頼」の非対称性
第7章 ビジネスの実務に役立つ事例研究の方法―「こだわり」と「わりきり」の選択

著者等紹介

井上達彦[イノウエタツヒコ]
1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了(経営学博士)。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授、早稲田大学商学部助教授(大学院商学研究科夜間MBAコース兼務)などを経て、2008年より現職。2011年9月から2013年8月まで独立行政法人経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、2012年4月から2014年3月までペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニアフェローを兼務。2003年経営情報学会論文賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

飯田健雄

39
この本は、アメリカ、イギリスで経営学の博士号や修士号を取りたかったら、まず仮説をたて、統計学とエクセルを学びなさいというもの。学術研究論文の基本的戦略構築は、こうですよといってもよい。およそ論文は、統計的処理と検証がなければ、Thesisではなく、Literature Review(文献整理)である。Findingsが既存の理論と合致しなければ、儲けもの(ブラックスワン)ということか。2017/12/24

ポタオ

12
個人的には難しかったです。私が読むにはちょっと早かったです。2021/11/19

牧神の午後

6
ケーススタディという方法論が合って、それは経営学を学ぶ上で非常に有効なんだけど、しっかりとした方法論なしにやってもありきたりになったり、場合によっては、頓珍漢な結論になりかねない。AOMでの優秀論文を題材に、ブラックスワン(ありえないことなんてありえない)をどうやってあぶり出しているのか、アカデミーではなく実務でやるには何を割り切り、どこに拘るのかを解説してくれた、今までありそうでなかった本。勿論、取り上げられた個々の論文、そこでの事例も興味深いんだけど、それだけじゃないってことで。2017/06/25

koji

5
本書の基底は、統計学と事例研究の対比で、事例研究は、ブラックスワン、即ち「ありえない」ことを解き明かすのに向いていると言います。確かに、統計学は今や大流行ですが、「仮説に合うような相関関係」を検証するもので、「はずれ値」を除外する傾向にあります。その「はずれ値」の中に、イノベーションの種があるかもしれない、否むしろ、そこに積極的な意味を見いだせるはずです。ただ、その着想はいいのですが、読みにくいですね。おそらく私が「事例研究の手法」をきちんと理解していないことによるものと思います。もう少し勉強が必要でした2015/06/12

Kentaro

4
ダイジェスト版からの要約 ヨーロッパの人たちがオーストラリア大陸でブラックスワンを発見するまで、黒い白鳥の存在は「ありえなかった」。ありえないと思っていた出来事に遭遇したとき、人は思わず「バカな」と心の中で叫んでしまいます。しかし、冷静になって考えてみれば可能性は十分にある。それに気づくことで、人は学習のレベルを引き上げていくわけです。マネジメントの研究では特定の企業、組織、個人、製品などについて研究する事例研究の手法があります。事例研究は、通説をくつがえしたり、ブラックスワンを類推するのに役立ちます。2018/04/29

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