内容説明
パリの人類博館物で、アジア人の女性の死体が発見された。身元を知る手がかりは、人類博物館の発掘調査部長の論文が載った新聞、そしてブックマッチに記された店のロゴ、狐の頭のマーク、ハングルの住所だけだった。新聞記者のマルクは、友人の警視のオフィスで事件を知り、韓国で調査を始める。やがて彼は、韓国の学者によるES細胞の作製に彼女が関わっていたことを知るが…フランス冒険小説大賞を受賞した話題作。
著者等紹介
ミリエズ,ジャック[ミリエズ,ジャック][Milliez,Jacques]
パリ第六大学の産婦人科学教授。サン=タントワーヌ病院で産婦人科部長を務めている。開発途上国の少女や女性の教育と健康のための援助を推進する“均衡と人口”というNGO(非政府組織)の事務局長で、国際産婦人科連盟倫理委員会のメンバーでもある。64歳にして初めて書いた小説『人類博物館の死体』で、フランス冒険小説大賞を受賞
香川由利子[カガワユリコ]
1954年生、京都大学大学院修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
150
ES細胞の不正事件が元ネタのよう。フランスの人類博物館で殺人事件。こういう科学とミステリの混在は大好きで、細胞関連の情報が随所に盛り込まれる。特に倫理問題にも踏み込んでいる。捜査は韓国にもおよび国際的な色合いも持つ。社会に対する問題提起とミステリは程よく溶け合っているから良作だとは思うが。ミステリとしては期待したほどは面白くなかった。ちょっと登場人物に都合よく進みすぎた感がある。absintheの大好きなゲーム『スタクラ』の話題に苦笑。2018/11/28
ホームズ
13
人類博物館で発見された死体。韓国の教授が発見した細胞とクローンなど面白い謎から始まった物語でしたが最終的に小粒な終わりに。実際の事件をモデルにしたクローン細胞の事件がメインで進んでれば面白かったけど殺人事件の真相が残念すぎる。読みやすかっただけにちょっと残念。しかし教授の名前がほとんど実名と変わらないのはいいのかな(笑)2011/06/28
アーチャー
8
手頃な厚さのの文庫本ですし、展開ペースも良い。ただ、その分心理描写も軽いです。個人的には進化論や人間を物体扱いする研究者の思想に”?”ですので、読んでいて不気味でしたが、本作と同系統の医療あるいは科学ミステリーなら、私は断然ロビン・クックの小説の方が面白いと思いますし&オススメますね。2011/10/09
ジョニー
5
韓国のES細胞詐欺事件を題材にしているが今となってはオボちゃんを思い起こさせる。ヒト細胞のクローンを巡る陰謀から巨悪が想像されるが事件の真相がショボい。あとがきでこの作品の目的がES細胞とは何かをみんなに知ってもらうためというのでそれは達しているかな。ただ冒険小説大賞というほどのものではない。2017/02/18
新地学@児童書病発動中
4
軽量級。それでも意外な拾い物で面白く読めた。プロットの展開は速いし、文章は歯切れがいい。一番良かったのは長さ!200ページ弱。500ページ以上の長編が多い欧米の作家は見習ってほしい。2010/03/01