出版社内容情報
接着のプロフェッショナルがその知識と経験を余すことなく投入し、接着剤のユーザー技術者向けに活用法の最前線をまとめた実践書
金属やゴム、樹脂、ガラス・セラミックス、木材――。多様な環境で使う様々な材料を強固に接合するために接着剤の種類は膨大な数に達している。それ故、技術者にとって、接着剤の選び方・使い方は、多くの知識と経験が必要となる困難な課題だ。
筆者の若林一民氏は、工業技術院の研究者、接着剤メーカーの社長、そして学会や工業会の副会長を歴任した接着のプロフェッショナルである。その知識と経験を余すことなく投入し、接着剤のユーザー技術者向けに活用法の最前線をまとめた実践書が本書だ。
接着技術を様々な工業分野で駆使するには、単純なハウツーでは事足りない。本書は、接着の理論、金属やゴム、樹脂など接着する材料の(接着技術から見た)特徴、各種接着剤の組成にまで立ち返った性質、接着のための表面処理技術、熱や外力といった多様な使用環境における接合部の振る舞いなど、接着剤活用に必要な内容を系統的に詳述する。さらに、異種材料の接着や環境負荷の低減、接着のトラブル対策など、近年重要性が高まっているテーマにも踏み込む。
【第1章】 接着剤および接着技術の基礎
1.1 接着および接着剤の定義
1.2 接着の長所と短所
1.3 接着剤の歴史
1.4 接着剤の種類と分類
1.4.1 主成分による分類
1.4.2 固化および硬化方法による分類
1.4.3 形態による分類
1.4.4 接着強さによる分類
1.4.5 機能による分類
1.4.6 対象とする産業(市場)分野別の分類
1.4.7 接着剤開発のコンセプトから見た分類
1.5 接着剤の構成
1.5.1 接着剤の主成分
1.5.2 有機溶剤
1.5.3 老化防止剤
1.5.4 粘着付与樹脂
1.5.5 可塑剤
1.5.6 充填剤
1.5.7 増粘剤
1.5.8 顔料
1.5.9 その他
1.6 接着剤の製造方法
1.6.1 縮合反応
1.6.2 重合反応
1.6.3 溶解混合
1.6.4 ポリマーブレンド
1.6.5 熱溶融混合
【第2章】 接着の理論(接着のメカニズムを解明する)
2.1 「ぬれ」ということ
2.2 「着く」ということ
2.2.1 接着界面の強さ
2.2.2 接着剤の凝集力(接着剤皮膜の強さ)
2.2.3 接着の破壊
2.2.4 接着の阻害因子
【第3章】 接着剤原材料の品質管理
3.1 接着剤の構成成分
3.1.1 主成分
3.1.2 溶剤
3.1.3 粘着付与樹脂
3.1.4 可塑剤
3.1.5 充填剤
3.1.6 増粘剤
3.1.7 顔料
3.1.8 その他
3.2 品質管理の実際
3.2.1 原材料入荷時の品質管理
3.2.2 原材料入荷時の試験項目(もしくは原材料サプライヤーが実施する試験項目)
3.2.3 反応当量
3.2.4 不純物含有率
3.2.5 分子量
3.2.6 粘度
3.2.7 密度(比重)
3.3 原材料保管時の品質管理
3.4 接着剤製品出荷時の確認試験
3.5 原材料の品質管理項目
3.5.1 主成分の品質管理項目
3.5.2 溶剤の品質管理項目
3.5.3 粘着付与樹脂の品質管理項目
3.5.4 可塑剤の品質管理項目
3.5.5 充填剤の品質管理項目
3.5.6 増粘剤の規格値
3.5.7 顔料の製品規格
3.5.8 その他の原材料
3.6 接着剤の試験方法
3.7 機能性材料
3.7.1 シランカップリング剤による樹脂・エラストマーの改質
3.7.2 機能性アクリル系接着材料
3.7.3 オキセタン樹脂
3.7.4 非晶性ポリアルファオレフィン
3.7.5 熱膨張性マイクロカプセル
3.7.6 コアシェルゴム
3.7.7 機能性充填剤
【第4章】 接着剤各論
4.1 エラストマー系接着剤
4.1.1 天然ゴム系接着剤
4.1.2 クロロプレンゴム系接着剤
4.1.3 溶剤形ニトリルゴム系接着剤
4.1.4 溶剤形熱可塑性エラストマー系接着剤
4.1.5 変成シリコーン樹脂系接着剤
4.2 樹脂系接着剤
4.2.1 エポキシ樹脂系接着剤
4.2.2 ポリウレタン系接着剤
4.3 反応形アクリル系接着剤
4.3.1 反応形アクリル系接着剤の種類
4.3.2 第二世代のアクリル系接着剤(SGA)
4.3.3 嫌気性接着剤
4.3.4 UV・可視光硬化形アクリル系接着剤
4.3.5 シアノアクリレート系接着剤
4.4 エマルション形接着剤
4.4.1 エマルション形接着剤とは
4.4.2 各種エマルションの分類
4.4.3 各種ポリマー(樹脂)エマルションの特性比較
4.4.4 エマルション形接着剤の組成
4.4.5 エマルション形接着剤の種類と用途
4.4.6 各種エマルション形接着剤
4.5 ホットメルト形接着剤
4.5.1 ホットメルト形接着剤の長所と短所
【第5章】 接着剤の選び方
5.1 接着剤を選ぶ基本原則
5.1.1 接着される材料は何か
5.1.2 使用する接着剤に望ましい性質は何か
5.1.3 どのような接着作業が適しているか(接着剤の適用方法)
5.1.4 コストおよび法規制は
5.2 接着剤の性質を知る
5.3 被着材の性質を知る
5.3.1 金属
5.3.2 ゴム(エラストマー)
5.3.3 樹脂(プラスチック)
5.3.4 ガラス、セラミックス
5.3.5 木材
5.4 実用条件を知る
5.4.1 外部応力(外力)
5.4.2 温度
5.4.3 湿度 1
5.4.4 薬品類
5.4.5 屋外暴露
5.5 接着剤に関係する法規制
5.5.1 消費者保護に関する法令
5.5.2 化学物質の安全対策に関する法令
5.5.3 輸出入に関する法令
5.5.4 環境保全に関する法令
【第6章】 接着剤の使い方
6.1 接着接合部の設計
6.1.1 突き合わせつぎ接合(Buttjoint)
6.1.2 重ねつぎ接合(Lapjoint)
6.1.3 アングルおよびコーナーの接合
6.1.4 フランジの接合
6.1.5 接着接合部の設計上の注意点
6.2 被着材の表面処理
6.2.1 金属の表面処理
6.2.2 樹脂の表面処理
6.2.3 ゴムの表面処理
6.2.4 木材の表面処理
6.2.5 ガラス、セラミックスの表面処理
6.2.6 表面処理効果の判定
6.3 接着剤の塗布
6.3.1 スプレー塗布法
6.3.2 エアレス・スプレー塗布
6.3.3 二液形接着剤のエアレス・スプレー塗布
6.3.4 ロールコータ塗布法
6.3.5 その他の塗布機械
6.3.6 手作業による接着剤塗布
6.3.7 ホットメルト形接着剤のアプリケータ
6.3.8 フォームミックスシステム
6.3.9 反応性ホットメルト形接着剤のアプリケータ
6.4 接着剤の乾燥・固化および硬化
6.4.1 熱移動による乾燥・固化および硬化
6.4.2 電磁波による乾燥・固化および硬化
6.4.3 電子線による乾燥・固化および硬化
6.4.4 乾燥・固化および硬化方式の比較
6.4.5 熱風式乾燥・固化および硬化装置
6.5 特異な接着技術
6.5.1 超音波接着工法
6.5.2 高周波接着工法
6.5.3 マイクロ波接着工法
6.5.4 ウェルドボンド工法
6.6 接着および接着剤の評価
6.6.1 性状に関する試験(JISK6833―1)
6.6.2 接着強さに関する試験方法
6.6.3 環境条件への耐性に関する試験方法
6.6.4 非破壊検査方法
【第7章】 環境に優しい接着剤
7.1 接着剤に係る法規制の種類と分類
7.2 シックハウス症候群への対応
7.2.1 住宅の居室に係る政令・告示の主な概要
7.2.2 建材からのホルムアルデヒド放散量の測定方法
7.2.3 日本接着剤工業会の放散ホルムアルデヒドに関する認定制度
7.3 4VOCの自主管理制度
7.3.1 大気汚染防止法の概要
7.3.2 日本接着剤工業会の4VOC自主管理制度
7.3.3 4VOCを使用しないエラストマー系溶剤形接着剤の調整
7.4 RoHS指令への対応
7.4.1 鉛に関する指令とはんだ代替導電性接着剤
7.4.2 臭素系難燃剤への規制
7.5 解体性接着剤の技術開発動向
7.6 今後の展望
【第8章】 異種材料の接着(金属と樹脂の接着)
8.1 被着材の特性
8.1.1 金属
8.1.2 樹脂
8.2 被着材の表面処理
8.2.1 金属の表面処理
8.2.2 樹脂の表面処理
8.3 構造用接着剤
8.3.1 構造用接着剤設計の考え方
8.3.2 構造用接着剤の種類
8.3.3 第二世代のアクリル系接着剤
8.4 金属と樹脂の接着の実際
8.4.1 軟鋼板とCFRPの接着
8.4.2 軟鋼板とポリプロピレンの接着
【第9章】 接着におけるトラブル処理技術
9.1 溶剤形クロロプレンゴム系のトラブルと対策
9.1.1 トラブルの状況
9.1.2 接着作業
9.1.3 接着不良の原因追究
9.1.4 結露の原因
9.1.5 対策
9.2 エポキシ樹脂系のトラブルと対策
9.2.1 硬化不良
9.2.2 発疹およびかぶれ症状
9.2.3 ステンレス/ガラスの接着における経時後のはく離
9.3 シアノアクリレート系のトラブルと対策
9.3.1 トラブルの状況
9.3.2 考えられる原因と対策
9.4 ホットメルト形の作業時のトラブルと対策
9.5 第二世代のアクリル系のトラブルと対策
9.5.1 金属腐食の問題
9.5.2 アクリルモノマーの臭気対策
9.5.3 接合面のクリアランス対策
9.5.4 被着材表面の接着ひずみ対策
9.6 UV硬化形アクリル系のトラブルと対策
9.6.1 硬化前(液状状態)の不良
9.6.2 硬化中の不良
9.6.3 硬化後の不良