内容説明
“日本人はもっと感動すればいい。フィーリングとセンスでは日本は世界ナンバーワンだ。イノベーションは感動から生まれると言っていい。集団主義の社会での感動は「持続的イノベーション」を、個人主義の感動は「破壊的イノベーション」を生みやすいと私は考えている。”ノーベル賞候補者で元日本化学会会長の現役科学者が、日米を比較しながら、日本閉塞の理由を明らかにする。
目次
第1章 私の破壊的イノベーション
第2章 日本人はもっと感動すればいい
第3章 問題は文系にある
第4章 「学術会議」は要らない
第5章 イノベーションは感動である
第6章 日本はやはり集団主義がいい
第7章 日本型イノベーションのために
著者等紹介
山本尚[ヤマモトヒサシ]
1943年、兵庫県生まれ。中部大学先端研究センター長、分子性触媒研究センター長、教授。名古屋大学特別教授、シカゴ大学名誉教授。京都大学工学部工業化学科卒業。ハーバード大学大学院化学科博士課程修了。東レ基礎研究所に10カ月勤務したのち、京都大学工学部助手。その後、ハワイ大学准教授、名古屋大学助教授・教授、シカゴ大学教授などを歴任し、2011年に中部大学教授に就任。元日本化学会会長。2017年に有機化学で最も権威ある「ロジャー・アダムス賞」受賞。2018年に瑞宝中綬章、文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mark X Japan
11
これまでとこれからの学術関係の在り方について、考えさせられました。日本人の気質も含めて、今後の日本人によるイノベーションへの懸念もよく考察しています。日本学術会議騒動は、著者の考えと同じで民営化して自分で資金調達すればよいでしょう。この騒動の良い点は、多くの問題がありながら、ほとんど知られずに日本学術会議が存在していたことが、分かったことでしょう。☆:4.02022/07/22
乱読家 護る会支持!
5
「ペプチド」を用いた創薬を研究されている著者の研究開発、イノベーション論です。 タイトルは「日本の問題は文系にある」となっていますが、このタイトルがこの本の主題になっているわけではありません。 科学技術を中心として日本に「破壊的イノベーション」が起きないのか?起こすためには日本の学校がどう変わらないといけないかを提言されています。 文系にも理系にも課題がある。 文系は哲学的思考を身につけるべきであり、学問は感動をもたらすものであり、学生はもっと自由であるべきと語られています。2022/12/31
inaryoXD11
2
日本流のイノベーションについて、自身の体験、日本人の特性(内向的集団社会主義)、日本の大学の問題などから述べている。著者の熱情を感じる一冊。文系をそんなに悪く言っているわけではないが、文科省の立てる政策には理系の意見を取り入れるべき。空想のプロジェクトばかりできることがよくわかる。「日本はやはり集団主義がいい」など独自の視点でどのようにして破壊的イノベーションを達成することができるのか、とても参考になる。名古屋大学で博士課程5年間を過ごした身として、少し責任を感じる本でもある。2023/04/14
Coochie Bill Game
2
文系が日本の足を引っ張っている。その通りですねー2023/01/10
タケゾウ
1
既存の常識を根底から覆す「破壊的イノベーション」が、 生まれない事に対して警笛を鳴らしている。 そして、その要因は「権威主義」に代表されるような、 「文系」特有の慣習やしがらみに起因しているというのが本著の要諦になる。 「日本の問題は文系にある」というタイトルは、 むしろ、技術的分野のみに影響が限定される「理系の知」と異なり、 社会全体の構造を覆す可能性のある「文系の知」に対する期待の裏返しと受け取りたい。 一応、「文系」の端くれとしては、「問題は文系にある」と言われないよう、身の引き締まる想いがした。2024/01/21