内容説明
“議会制度発祥の国”からの報告。小選挙区制と二大政党によって政権交代可能な政治システムが機能している英国。そこで政治家を志すある人物の選挙運動の実際、有権者の反応、投票、そして初登院に至るまでを克明に追い続けることで、「ジバン」「カンバン」「カバン」がなくても能力と努力で議員になることができる姿を明らかにし、健全な選挙制度はどうあるべきかを問いかける。
目次
第1部 ウェストミンスターへの道(下院議員への助走;候補者選出と選挙区探し;選挙区での選挙運動;中央での選挙運動;有権者の審判;ウェストミンスター入り)
第2部 英国の選挙と政党の歴史(「一人一票」への道のり;「一票一価値」と区割り;選挙と政党の変遷)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
6
1998年刊行。長年「積ん読」だったが、Brexit問題で英国議会に関心を抱き、ひもといた。得るところはあった。著者は新聞記者。1992年の英下院で初当選した保守党議員に密着取材して書いたのが第1部。第2部は英国の選挙・政党の歴史。Brexit問題での英下院の討論の様子をYouTubeで見て思うのだが、閣僚だけでなく、重要動議を提出した中堅議員の発言ぶりには、「ディベイト能力が高い」と思う。この本には、立候補希望者が、党地域組織の面接を受ける様子が出てきて、「その段階で言語能力が問われるのだ」と納得した。2019/04/04