出版社内容情報
現代外交の一大焦点に挑む――。今日における「中国」の国際的地位は、一日にして形成されたものではない。なぜ、どのように交渉を行い、各国政府はいかに対応したのか。共産圏・欧米・日本からアジア・アフリカ・ラテンアメリカ・太平洋の中小諸国まで、冷戦の枠組みを超えた駆け引きの実態と、知られざる国家間ネットワークの力学を浮き彫りにする、未踏の成果。
「本書は……中華人民共和国と中華民国という二つの「中国」と諸外国の間で(往々にして複数の工作・交渉が同時並行で)展開された国交樹立をめぐる外交を「「中国」をめぐる国交樹立外交」と呼び、可能な限り多くの事例について一貫した視点から捉えなおそうとするものである。言うなれば、本書はグローバルに展開する中国外交と国際社会の対応に関する国際史的研究である。」(「序章」より)
【目次】
凡 例
序 章
1 国交樹立問題とその重要性
2 史資料と先行研究
3 本書の構成
第Ⅰ部 中華人民共和国建国前後の国交樹立外交
はじめに
第1章 社会主義的「兄弟愛」と現実
-- 共産圏諸国
はじめに
1 ソ連からの政権樹立容認の獲得まで
2 三大外交政策の確定と即時承認の内諾の獲得
3 国交樹立と直後の関係
おわりに
第2章 北方の脅威へのリスクヘッジ外交
-- ビルマ
はじめに
1 ビルマ独立前後の政府と中華民国との関係
2 中共政権承認問題の浮上
3 中華人民共和国建国後の承認外交
4 中華人民共和国との接触
5 北京での交渉へ
おわりに
第3章 ネルーの積極外交と緩衝地帯チベットの喪失
-- インド
はじめに
1 独立期インドと中華民国
2 ネルーの中共政権承認外交 -- 各国・国内慎重派との駆け引き
3 建国前後
4 承認外交の最終局面(1949年12月)
5 国交樹立交渉
6 外交使節交換の段階
おわりに
第4章 独自外交・協調外交・反共主義のトリレンマ
-- インドネシア
はじめに
1 建国前後のインドネシアと中国
2 国交樹立交渉
3 関係の安定まで
おわりに
第5章 「3つのサークル」間のバランス外交
-- イギリス
はじめに
1 国共内戦期までの英中関係とイギリス外交
2 米国追従から独自の基本方針の策定へ(1948年)
3 承認外交 -- 中国共産党との接触の模索(1949年)
4 南京陥落後の「3つのサークル」との調整
5 英米ワシントン会議
6 中華人民共和国建国直後の初動
7 承認外交の総仕上げ
おわりに
第6章 スカンディナヴィア三国協調外交の内実
-- スウェーデン・デンマーク・ノルウェー
はじめに
1 背景説明 -- 清朝~中華民国
2 スウェーデンの承認外交
3 国交樹立交渉
おわりに
補 論 スイスとフィンランドの国交樹立外交
第7章 対米追随か対英協調か
-- フランス