内容説明
一国の技術水準を決定する工作機械工業で、現在わが国は世界の主導的立場にある。躍進はいかにして実現されたのか。「饗宴と飢餓」の波に翻弄されつつ、後進性からの脱却のために費やされた努力の軌跡を丹念に追跡したライフワーク。
目次
「機械をつくる機械」の120年
第1部 日本工作機械工業の形成―戦前期(明治後期の工作機械工業―重層的な市場・生産構造の形成;第1次世界大戦期の工作機械工業―「饗宴」と拡大 ほか)
第2部 工作機械工業と経済統制―戦時期(日中戦争期の工作機械工業―戦時経済統制の展開と企業動向;太平洋戦争期の工作機械工業―「飛躍」の実態 ほか)
第3部 戦前・戦時期の個別経営(唐津鉄工所―自立的経営発展;大隈鉄工所―下請管理の展開 ほか)
第4部 工作機械工業の新展開―戦後期―(高度成長期の工作機械工業―継承と変貌;NC化時代の到来と工作機械業界の構造変化)
日本工作機械工業の発展条件
著者等紹介
沢井実[サワイミノル]
1953年生。1978年国際基督教育大学教養学部卒業。1983年東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学。現在、大阪大学大学院経済学研究科教授、博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
6
横書きの本って、ページ辺りの情報量が増えるから、体力がいるわ。と、「機械を作る機械を作る」事に憧れ、世界を制する迄に至った日本の工作機械工業業界史である。「戦前」「戦時期」「戦前・戦時期の個別経営」「戦後期」と四部に分たれ、各時期の工業機械業界の有り様を追っている。「あとがき」で倒産した「新潟鐵工所」の役員会議事録や唐津鉄工所(現:唐津プレシジョン)の創業以来の製番帳など、利用された史料の質・量に圧倒される。やはり、大阪に産業史博物館を建てる必要は今でもあるのだなあ、と、思った。2021/04/13