出版社内容情報
本書は、西田幾多郎の後継者として京都大学で哲学研究を担った田辺元(1885-1962)の思索の軌跡をたどり、その独自性と意義を明らかにするものである。田辺は哲学を、完成された体系としてではなく、自己矛盾を内包しながら特殊な問題を通して展開し、つねに発展する歴史的な営みと捉えた。そのため「田辺哲学」も固定した体系ではなく、転機を重ねながら「不断の生長」を遂げた思索の全体として理解されるべきである。本書では、その変遷を追究するとともに、田辺が他の思想家との対決と批判を通して自らの思想を形成・発展させた点に注目する。初期にはヘーゲル、中期には西田幾多郎、後期にはハイデガーとの対決を軸に、批判の歴史と田辺自身の哲学的成長との関係を考察し、田辺哲学の形成過程とその思想史的意義を明らかにする。
【目次】
はじめに
第Ⅰ部 田辺哲学の成立と展開
第1章 初期の田辺元の思索
1 田辺の思索の出発点
2 科学哲学・数理哲学の研究
3 「学の哲学」から「生の哲学」へ
4 弁証法
5 西田哲学に対する批判と絶対無の弁証法
第2章 「種の論理」の成立と展開
1 「種の論理」への歩み
2 「種の論理」とは何か
3 「社会存在の論理」以後の「種の論理」の展開
4 「絶対無」をめぐって
第3章 懺悔道としての哲学
1 懺悔
2 「懺悔道としての哲学」とは何か
3 田辺元と親鸞
4 懺悔道の社会性、あるいは懺悔道とキリスト教
5 田辺哲学と禅
第4章 死の哲学
1 「哲学と詩と宗教」から『数理の歴史主義展開』へ
2 「死の哲学」の構想へ
3 「死の哲学」の核概念――「死復活」
4 田辺の「死」の理解の深化――「実存協同」
5 モナドロジー的実存協同と菩薩道
6 ハイデッガーとの思想的対決
第5章 田辺元とヴァレリー、マラルメの象徴詩
1 田辺元の「象徴」についての理解
2 田辺元とヴァレリーの象徴詩
3 田辺元とマラルメ
第Ⅱ部 対話・批判・論争
第6章 田辺元とシェリング哲学
1 シェリングと日本の哲学
2 田辺によるヘーゲル批判とシェリング哲学
3 シェリングにおける自由、悪、「神のうちなる自然」
4 「懺悔道としての哲学」とシェリングの自由論
5 田辺の晩年の思索とシェリング
第7章 ハイデッガー哲学の受容、批判、およびその克服
1 「人間学」をめぐって
2 ハイデッガーを超えて
3 「種の論理」とハイデッガー批判
第8章 西田哲学と田辺哲学――創造的対話の一つの形
1 「西田先生の教を仰ぐ」における西田哲学に対する批判
2 田辺の批判以後の西田の思索の展開
3 「種の論理」の展開と西田哲学に対する批判
4 西田哲学における「種」の位置づけ
あとがき
附録一 田辺元の西田幾多郎宛の最後の書簡
附録二 田辺元先生と野沢協先生
内容説明
田辺は何を考え、なぜ思想を変化させたのか―半世紀に及ぶ「不断の生長」の軌跡を読み解く。「種の論理」から「懴悔道」「死の哲学」へ。対話と批判の積み重ねから田辺哲学の全体像に迫る。
目次
第1部 田辺哲学の成立と展開(初期の田辺元の思索;「種の論理」の成立と展開;懴悔道としての哲学;死の哲学;田辺元とヴァレリー、マラルメの象徴詩)
第2部 対話・批判・論争(田辺元とシェリング;ハイデッガー哲学の受容、批判、およびその克服;西田哲学と田辺哲学―創造的対話の一つの形)
著者等紹介
藤田正勝[フジタマサカツ]
1949年生まれ。京都大学、ドイツ・ボーフム大学大学院修了。京都大学大学院文学研究科、同大学院総合生存学館教授を経て、京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



