出版社内容情報
戦前期にフィリピンヘ渡った日本人移民とその末裔である日系人たちの複雑な家族史を描き出す。残留二世のアイデンティティ・ポリティックスや二世・三世が直面したアイデンティティと市民権・国籍の問題を、多数の当事者へのインタビューや供述書、日比豪に残る史料を用いて考察する。さらに、政策や国民感情の変化、他地域の日系人の動向も視野に人れ、アイデンティティと市民権(国籍)が世代を超えて結合・乖離する要因とその背景を検証する。
【目次】
略語一覧
地 図
はじめに
1.「遺産」を取り戻す
2.語り始めた一世と二世
3.フィリピン二世のアイデンティティ・ポリティックス
4.「イゴロット」の表記について
5.本書の構成
第1章 一世のレガシー
1.ベンゲットからダバオへ
2.「オトロ・ハポン」のダバオ移住
3.異民族婚を通じての文化的同化
4.対日恐怖症が生む団結
第2章 二世と大和魂
1.「和魂比才」教育
2.「日本臣民」の育成
3.メスティーソ二世の国籍問題
4.たちこめる戦雲
5.抑留と解放
第3章 「父の国」と「母の国」の間で
1.一世の日本軍協力
2.日本軍による二世の戦争動員
3.在留邦人コミュニティの崩壊
集団自決、同胞殺害、2度目の抑留
4.選択のとき:日本送還か現地残留か
5.フィリピン人妻たちの選択1:日本への「引揚げ」
6.フィリピン人妻たちの選択2:現地残留
第4章 「フィリピン日系人」としての再生
1.「ハポン」としてのスティグマ
2.アイデンティティ隠し
3.戦争の傷を癒す
4.日本への憎悪と恐怖
5.一世の「帰還」
6.集う二世たち
7.拡がる支援
8.フィリピン日系人問題の政治化
9.戦後の諸問題と法的援護
第5章 「日本人性」の回復
1.日系人の日本就労現象
2.「フィリピン残留日本人」という主張
3.「日系人」から「日本人」へ
4.国籍とアイデンティティの変遷
ダバオで15年間隔の配布票調査から
5.三世のコミュニティ拡大と社会的上昇
6.日系人会経営のミンダナオ国際大学の発展
7.未認定残留二世の時間との闘い
終章 トランスナショナルな市民権とアイデンティティの可能性
1.一世と二世におけるアイデンティティと市民権の関係
2.「日系人」から「日本人」に向かった二世のアイデンティティ・ポリティックス
3.三世に波及したアイデンティティと市民権の変化
4.「日本人」と「日系人」の垣根を超える市民権
付属文書
付属文書1 フィリピンの出入国管理局が、あるダバオのメスティーソ二世に発行した外国人登録証明書
付属文書2 在ダバオ日本領事館が1941年7月に発行した、あるメスティーソ二世女性が日本人の「非嫡出子」であるとの証明書
付属文書3a Questionnaires on Identity and Consciousness, addressed to Nisei and Sansei respondents from Calinan(English version)
付属文書3b Questionnaires on Identity and Conscious
内容説明
戦後80年、放置されたままのフィリピン残留二世の国籍問題。日本軍政下でフィリピン人に多大な犠牲を強いた日本人の親を持ったがために、戦後、日本人としての名前も国籍も喪失した人々。歴史の狭間で失ったものを再び手にすることはできるのか。残された時間はわずかである。戦前期にフィリピンへ渡った日本人移民とその末裔である日系人たちの複雑な家族史を描き出す。残留二世のアイデンティティ・ポリティックスや二世・三世が直面したアイデンティティと市民権・国籍の問題を、多数の当事者へのインタビューや供述書、日比豪に残る史料を用いて考察する。さらに、政策や国民感情の変化、他地域の日系人の動向も視野に入れ、アイデンティティと市民権(国籍)が世代を超えて結合・乖離する要因とその背景を検証する。
目次
第1章 一世のレガシー
第2章 二世と大和魂
第3章 「父の国」と「母の国」の間で
第4章 「フィリピン日系人」としての再生
第5章 「日本人性」の回復
終章 トランスナショナルな市民権とアイデンティティの可能性
付属文書
付録
著者等紹介
大野俊[オオノシュン]
京都大学東南アジア地域研究研究所連携教授、清泉女子大学人文科学研究所客員所員、認定NPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター理事。毎日新聞社マニラ支局長、フィリピン外国人特派員協会会長、九州大学アジア総合政策センター教授・同センター長、京都大学東南アジア研究所特任教授、清泉女子大学文学部地球市民学科教授、同大学人文科学研究所長などを歴任。フィリピン大学アジアセンターでMA(フィリピン研究)、オーストラリア国立大学アジア学部でPhD(東アジア・東南アジア研究)を取得。2016年にフィリピン大学同窓会が顕著な業績をあげた卒業生に授与するDistinguished Alumnus Awardを移民研究部門で受賞。2025年には同大学アジアセンターが卓越した卒業生に授与するOutstanding Alumni Awardを外国人として唯一受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



