出版社内容情報
「存在論的転回」が人文学を揺るがしているという。しかし,南米の先住民研究に触発された存在論的アニミズム論はほんとうに新しいのか? いや,もっと有体に言えば,人間中心主義を批判しながら南米先住民社会の自然と人間の対称性を再び人間(人格)モデルを用いて外から解釈したに過ぎない。岩田慶治は,すでに1970年代,当時の挑戦的と言われた人類学者でさえ絶句した,人と草木虫魚の一体性を説いた。しかもそれは,草木虫魚とともに生きる東南アジアの人々の精神世界に,外からの解釈でなく,自己を投げ出す「参与」という実践の中から生まれたのだ。いまこそ〈自分学〉として成された新アニミズム論を評価し,狭い「学」としてでなく,我々の生き方の知として学ぶ時なのだ。
内容説明
「存在論的人類学」のほんとうの起点がここにある。新アニミズム論を再評価し、世界を結び直すために。
目次
第1編 研究 岩田慶治の仕事とその継承(五〇年目のラオス―岩田慶治調査村を再訪する;非自然(ほんとうの自然)を描く―感性の論理にむけて
岩田慶治の存在論的人類学のアクチュアリティ―“柄と地”理論と自己「参与」 ほか)
第2編 臨地―岩田慶治の世界を写真で読む(初めての異世界;バンコク事始め;環境と民族 ほか)
第3編 人生―関係資料(略歴および海外調査歴;岩田慶治著作目録(抄)
「岩田慶治先生追悼シンポジウム」フライヤー ほか)
著者等紹介
松本博之[マツモトヒロユキ]
奈良女子大学名誉教授。1946年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は、地理学、文化人類学、民俗学。愛媛大学、大阪教育大学、奈良女子大学で研究教育に従事
関根康正[セキネヤスマサ]
京都精華大学マンガ学部客員教授、関西学院大学社会学部元教授。1949年生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了、ロンドン大学SOAS人類学・社会学研究科Master&Doctoral Course修了。土木工学修士(東京工業大学)、MA&Ph.D of Social Anthropology(University of London)。専門は、南アジア社会の文化人類学。東京工業大学、学習院女子短期大学、筑波大学、日本女子大学、関西学院大学で研究教育に従事し、神奈川大学客員研究員を経て2020年より現職。第14回日本文化人類学会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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