出版社内容情報
前4世紀以降、ローマは自治都市と投票権なき市民権によって周辺民を支配下に置く。数少ない史料から共和政確立の過程を描き出す。
内容説明
前4世紀半ばよりローマはイタリアの諸民族を支配下に収め半島に帝国支配を構築するが、その道は平坦ではなかった。イタリア支配の鍵を自治都市と投票権なき市民権に求め、限られた史料をもとに帝国の原型が形成される過程を追う。
目次
イタリアとローマ
第1部(ムーニキピウムとムーニキペースの起源;投票権なき市民権(civitas sine suffragio)の起源)
第2部(ローマ市民権とケーンスス(戸口調査)
ガーイウス・グラックスの改革とイタリアの同盟市
ガーイウス・グラックス以降の不法取得返還請求法)
著者等紹介
毛利晶[モウリアキラ]
1947年京都市に生まれる。神戸大学大学院人文学研究科名誉教授。文学修士(西洋史学、東京大学)、Dr.phil.(ラテン文献学、マールブルク大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
1
イタリアとローマ: 一つの市民権と二つの祖国 同盟市戦争 イタリア半島のローマ化 ラテン人戦争(前341―338年) ラテン人戦争の戦後処理 本書の構成と課題 ムーニキピウムとムーニキペースの起源 投票権なき市民権(civitas sine suffragio)の起源 「カエレ人の表(Tabulae Caeritum)」について ローマ市民権とケーンスス(戸口調査) ガーイウス・グラックスの改革とイタリアの同盟市 ガーイウス・グラックス以降の不法取得返還請求法2022/05/31
MonsieurACT
0
非常に歯ごたえのある論文集で、一周では各章の議論を全く追えなかったので再読予定。史料の扱い方や19世紀以来の先行研究の網羅的検討は共和政ローマ史研究の範となるもので、これを日本語で読めるのがまず有り難い。 本書がしっかりと腰を据えて読まねばならない学術書であることを承知で身勝手な事を言うと、碑文を中心とするいくつかの史料については、全体を引用せずに略称と章句を抜粋して検討を行っているので非常に読みにくい。史料集・碑文集を座右におくか、史料ごとに別紙に書き写して随時参照するというやり方が必須となる2022/03/15