内容説明
高2の朝葉は、勉強も部活も要領よくこなす優等生。部員の仲を取りもつ毎日を過ごすうち、本音を飲み込むことに慣れ、自分の意見を見失っていた。そんなある日、朝葉は自分の顔が見えなくなる「青年期失顔症」になってしまう。しかも、それを同級生の聖に知られ…。クールで自分の考えをはっきり言う聖に、周りに合わせて生きている自分は軽蔑されるはず、と身構える朝葉。でも彼は、「疲れたら休んでもいいんじゃねぇの」と言って、朝葉を学校から連れ出してくれた。聖の隣で笑顔を取り戻した朝葉は、自分が本当にやりたいことや好きなことを見つけはじめる―。あの頃、そして今、誰もが感じている痛み。青春の息苦しさにそっと寄り添う、感動の恋愛小説。第5回野いちご大賞大賞受賞作!
著者等紹介
丸井とまと[マルイトマト]
食関連のデザイナーとして働きながら、日々執筆中。2016年『素直になれない7センチ』(スターツ出版)で電子書籍デビュー。第5回野いちご大賞で、『青春ゲシュタルト崩壊』が大賞を受賞、現在はケータイ小説サイト「野いちご」にて、活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
39
外的ストレスにより自分の顔がのっぺらぼうに見える「青年期失顔症」になってしまった朝葉と、同級生の金髪男・聖の青春話。部内で仲違いがあったり、優しいからと責任を押し付けられ都合のいいように扱われたり。私はここまでではないが、良いように扱われたこともあるし、嫌だと言えなかった時期もあって共感した。ピンチを救う聖がタイミング良すぎて、少女漫画のようなベタな展開にきゅん。打ち明けられる相手がいるって安心する。ぶっきらぼうなのに満更でもない聖は可愛くて、いつも朝葉を守ってくれてかっこいい。心強い味方がいて良かった。2022/03/27
クボタ
33
丸井トマトさんは初読。青年期失顔症を発症した女子高校生の話だが、青年期失顔症なる病があることを知らない最近になって出てきた病かと思いながら読んだ。物語としては高校生の心の病とも言えることで、悩む女生徒とそれを支える男子生徒がどの様に進んでいくかだった。意外と面白かった。最後に書いてあったが青年期失顔症は架空の病だった。2021/10/09
かな
28
青年期失顔症という架空の病気、実際にあっても不思議ではないと思いました。人の目を気にし、人に合わせているうちに自分の意見さえもいえなくなる。そして最後は自分を見失い自分の顔さえわからなくなる。自分の顔が認識できないは大げさかもしれないけれど、実際それに近い状態の人って結構いるんじゃないかと。そして「疲れたら休んでいいんじゃねえの」多分その一言が欲しいんだと思います。後半は涙が出そうでした。現実だとこの本のようにはいかないんでしょうけど最後、ハッピーエンドで終わって良かったです。2021/07/23
さやなか
24
♪︎言いたい事も言えない世の中じゃ~、ポイズン♪︎と反町隆史の歌が脳内に流れてくる。物語はグレートティーチャーが登場!する訳では勿論なくて、高校二年生の朝葉の息苦しくも眩しい青春物語である。「相貌失認」と言う病気があるが、このお話に出てくるのは「青年期失顏症」と言う架空の病だ。学生の頃、協調性がなくつまらない青春時代を送っていた私には朝葉の言動にヤキモキしながらも羨ましさも感じられ、最後は爽やかな気分と共に笑顔で読了。学生生活に悩みを持つ若い子達に読んで欲しいですね。ありがとうございました😌2022/04/30
まる子
19
自分の気持ちを我慢(殺し)して、友達や家族に合わせてていると、本当の自分がわからなくなり発症する「青年期失顔症」。自分の顔がのっぺらぼうに見えて、完治期間は1日、半年、数年とさまざま。思春期に限らずだけれど、この時期は特にありがちな、部活や友人関係、親の期待に応えようとするあるある。「青年期失顔症」自体が架空の症状(病気)だけれど、本当にあってもおかしくはない。リアルなら、「うつ病」や「適応障害」かな?心が壊れてしまう前に、あなたを救ってくれる人がいる事を願って。(未登録だけど再読本)2022/01/04