内容説明
高2の朝葉は、勉強も部活も要領よくこなす優等生。部員の仲を取りもつ毎日を過ごすうち、本音を飲み込むことに慣れ、自分の意見を見失っていた。そんなある日、朝葉は自分の顔が見えなくなる「青年期失顔症」になってしまう。しかも、それを同級生の聖に知られ…。クールで自分の考えをはっきり言う聖に、周りに合わせて生きている自分は軽蔑されるはず、と身構える朝葉。でも彼は、「疲れたら休んでもいいんじゃねぇの」と言って、朝葉を学校から連れ出してくれた。聖の隣で笑顔を取り戻した朝葉は、自分が本当にやりたいことや好きなことを見つけはじめる―。あの頃、そして今、誰もが感じている痛み。青春の息苦しさにそっと寄り添う、感動の恋愛小説。第5回野いちご大賞大賞受賞作!
著者等紹介
丸井とまと[マルイトマト]
食関連のデザイナーとして働きながら、日々執筆中。2016年『素直になれない7センチ』(スターツ出版)で電子書籍デビュー。第5回野いちご大賞で、『青春ゲシュタルト崩壊』が大賞を受賞、現在はケータイ小説サイト「野いちご」にて、活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
85
YA「青年期失顔症」▽高校2年の間宮朝葉(みまやあさは)はバスケ部に所属している。最近1年と2年の確執が大きくなり人の良い朝葉は板挟みに苦しむ。3年の先輩は「先生に相談してみて」と投げ、先生は「甘えるな」という。ストレスで失顔症を発症した朝葉は、自分の顔がのっぺらぼうになる感覚に恐怖した。「発症者は心が弱い」と責められる為、朝葉は誰にも相談できない。唯一、朝葉の変化に気がついた幼馴染の朝比奈聖(あさひなひじり)だけが救いの手を差し伸べてくれた▽高校設定だけど幼い印象。中学生が好きそうな話。2021年発行2025/04/27
オセロ
55
【KU】良かったですね。 思春期の少年少女が様々な要因で発症する、自分の顔が認識出来なくなる青年期失顔症。そんな架空の病気になった少女と少女の病気のことを知った少年のストーリーはこの手の作品でよく見るものだけど、清々しい。そして少女が青年期失顔症を発症する原因となった人間関係はあるあるだけど、解決するとなるとなかなか難しい。だからこそ失った自分自身を取り戻そうと、少女の勇気ある行動は立派だと思った。2025/09/22
ひめか*
40
外的ストレスにより自分の顔がのっぺらぼうに見える「青年期失顔症」になってしまった朝葉と、同級生の金髪男・聖の青春話。部内で仲違いがあったり、優しいからと責任を押し付けられ都合のいいように扱われたり。私はここまでではないが、良いように扱われたこともあるし、嫌だと言えなかった時期もあって共感した。ピンチを救う聖がタイミング良すぎて、少女漫画のようなベタな展開にきゅん。打ち明けられる相手がいるって安心する。ぶっきらぼうなのに満更でもない聖は可愛くて、いつも朝葉を守ってくれてかっこいい。心強い味方がいて良かった。2022/03/27
クボタ
34
丸井トマトさんは初読。青年期失顔症を発症した女子高校生の話だが、青年期失顔症なる病があることを知らない最近になって出てきた病かと思いながら読んだ。物語としては高校生の心の病とも言えることで、悩む女生徒とそれを支える男子生徒がどの様に進んでいくかだった。意外と面白かった。最後に書いてあったが青年期失顔症は架空の病だった。2021/10/09
かな
31
青年期失顔症という架空の病気、実際にあっても不思議ではないと思いました。人の目を気にし、人に合わせているうちに自分の意見さえもいえなくなる。そして最後は自分を見失い自分の顔さえわからなくなる。自分の顔が認識できないは大げさかもしれないけれど、実際それに近い状態の人って結構いるんじゃないかと。そして「疲れたら休んでいいんじゃねえの」多分その一言が欲しいんだと思います。後半は涙が出そうでした。現実だとこの本のようにはいかないんでしょうけど最後、ハッピーエンドで終わって良かったです。2021/07/23