内容説明
第5回野いちご大賞・大賞受賞作待望の文庫化!朝葉は勉強も部活も要領よくこなす優等生。部員の仲を取りもつ毎日を過ごすうちに、本音を飲み込むことに慣れ、自分の意見を見失っていた。そんなある日、朝葉は自分の顔が見えなくなる「青年期失顔症」を発症し、それを同級生の聖に知られてしまう。いつも自分の考えをはっきり言う聖に、周りに合わせてばかりの自分は軽蔑されるはず、と身構える朝葉。でも彼は、「疲れたら休んでもいいんじゃねぇの」と朝葉を学校から連れ出してくれた。聖の隣で笑顔を取り戻した朝葉は、自分の本当の気持ちを見つけはじめる―。
著者等紹介
丸井とまと[マルイトマト]
食関連のデザイナーとして働きながら、日々執筆中。『青春ゲシュタルト崩壊』で、第5回野いちご大賞・大賞を受賞し、本作にて待望の文庫化となる。小説サイト「野いちご」「スターツ出版文庫byノベマ!」にて執筆活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
本音を飲み込むことに慣れ自分の意見を見失ってしまった優等生の間宮朝華。彼女が自分の顔が見えなくなる「青年期失顔症」を発症してしまったことを、同級生の朝比奈聖に気づかれてしまう青春小説。親のプレッシャーや、部活で仲を取り持つ日々に疲弊していた朝華が発症した青年期失顔症。彼女に自分の考えをはっきり伝えて、外に連れ出して気分転換に付き合ってくれた聖。理解してくれる人たちもいて、部の仲間や顧問の利己的な発想や親とも向き合い、笑顔を取り戻してゆく展開は良かったですね。朝華を意識していた聖のエピソードも良かったです。2023/10/27
栗山いなり
9
自分を抑えすぎたがために自分の顔が見えなくなる病を発症してしまった少女の再生と成長を描いた物語。この手の物語を最近何冊も読んできたせいかこの作品ならではの感想を上手く説明できないけど、何でか分からんが心にズシっと来るものがある作品だったな2023/10/19
史
8
人間は人間であるが故にキャラクターと化す。そうしなければ全てなくってしまいそうだから。だけどそれは本当とはかけ離れたもの。無理矢理演じることの息苦しさが、精神の病で現れる世界で、悩み悶て苦しむ少女の姿はとても心にくるものがある。悪意の積み重ねや旧世代的な価値観に翻弄されこの世に救いはないのかと嘆きたくもなる。一方で、きちんと今を理解して親身になってくれる人や善意の形も存在している。だからこそ、少女たちは希望をもたらす小さな光を目指すのかな。いやはや青春期の難しさをよく描いております。これこそスターツ出版。2023/11/01
ひねよし
5
先輩と後輩の板挟みで嫌なことを押し付けられて嫌とは言えない主人公。嫌なことを嫌と言えない人を少し理解できた。2024/08/31
まめむぎ
4
人に頼まれると嫌と言えない真面目な性格の朝葉が、「青年期失顔症」になって、自分の顔が見えなくなってしまった。この病気は、自分を見失った時にかかるらしい。病気を発症した時偶然居合わせた朝比奈くんと本当にやりたいこと、やりたくないことを見つめ直して、新しい選択をする朝葉の成長物語。中学生女子に勧められて読みました。読後感さわやか!よかったねといっしょに喜べるようないい話でした!朝比奈くんがいい奴すぎる!2024/10/31