出版社内容情報
名優が洗練とユーモアに溢れた筆致で綴る酒の昭和史。逝去後5年の年月を経て復刊。
内容説明
酒の名著、復活。昭和史とともに酒と長く、深く付き合う池部良の「飲み方」。大学卒業から入隊、俳優の道へ。自身の歩みとともに綴る「酒の履歴書」
目次
桃の節句に
春日大神に謝る
八岐大蛇が呑んだ酒
「宇王通火」という名の酒
小粋な酒
金色の噴射
一水流師範
Mr.クレイトンのジン
電気ブラン
別れ酒、祝い酒〔ほか〕
著者等紹介
池部良[イケベリョウ]
1918(大正7)年、東京・大森生まれ。1941年、立教大学文学部英文学科卒。同年、東宝シナリオライター研究所を経て、東宝映画に俳優として入社。映画『闘魚』でデビュー。戦時中はニューギニア、中国を転戦し、陸軍中尉として復員。戦後、東宝映画と契約、専属俳優としてトップスターに。その後、舞台、テレビでも活躍。日本映画俳優協会理事長、日本俳優連合副理事長などを歴任。エッセイストとしても評価が高く、著書多数。1991年にはエッセイ集『そよ風ときにはつむじ風』(毎日新聞社)で日本文芸大賞受賞。2010年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イロハニ
11
全て酒が主役。戦前~後の時系列的連作短編“武勇伝”著者は流石大スター!終始見事に“助演”を演じきった。が甘いマスクの下にこんな豪胆があったのに驚いた。7歳時父の無理強いから遍歴は始まる。が全て図らずも貴重な庶民史だ。特に戦時体験は凄い。大陸前線での白乾児、南方転進での椰子酒共に60度の強烈。これは隙間時間にハイ読了という本ではなく呑み時の盃の空いた手に納まるべき一冊だ。呑り始めの頭のハッキリしてる内に一話づつ読んだらショートが33度楽しめる。がお楽しみの前に昭和時代という“大道具”の勉強も必要と痛感した。2022/10/20
がんもどき
5
昔の俳優さんによる、戦争前夜~戦時中~敗戦のころから復帰に至るまでの記憶を酒に絡めて書かれた本。戦争中疎開したという話は読んだことがあるけれど、兵士として参加したのはちょっと読んでなかったので新鮮だった。本文は読みやすくはあるが、ちょっと短めの文章の連なりなので、途中で一休みばかりしてしまい思ったより読むのに時間がかかった。それにしてもよく飲んでいるなと思う。アル中で死んでしまいそうな勢いで飲んでいる。アルコールがダメな身としてはちょっとうらやましいようなそうでもないような…。2022/05/17
フロム
3
兎に角文章が上手い。箸休めに丁度いい軽めのエッセイだが「しずる」感がすごい。この本読んでいると酒を呑みたくと言うより嘗めたくなる。特に著者が出征中中国で安酒を飲む章のしずる感は半端無い。2015/07/10
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- 和書
- 追憶のかけら 文春文庫