内容説明
『ふたり怪談』シリーズ第3弾。絡み付く不気味と滲み出る闇を描く幽戸と、色合いを変えて恐怖を炙り出す松村が垣間見せる実話怪談!
著者等紹介
幽戸玄太[カスカベゲンタ]
平山夢明に怪談奇人と言わしめ、FKB『厭霊ノ書』でデビュー
松村進吉[マツムラシンキチ]
徳島県生まれ。2006年「超‐1/2006」に優勝しデビュー。2009年からは五代目編著者として『「超」怖い話』夏版を牽引する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
129
若手実話怪談作家の二人が人間の狂気と妄想の恐怖を描く傑作アンソロジーですね。『妄想力』幽戸玄太:クーラーの発する異音を子犬の鳴き声と感じて愛着を抱き音が止まった時に涙を流す男の話と部屋に異臭を感じ出した男が迷いながら遂に意を決して押し入れを開けると現実に忍び込んだ空き巣の死体があった話。『それはそれ、これはこれ』松村進吉:共働き夫婦の妻が或る日真っ赤な炎を吐き出す自販機を見てから次第に被害妄想がふくらんで夫が我が家で女と堂々と不倫をしていると思い込み狂気に走る話で、幸い入院治療の後に元の冷静さを取り戻す。2020/08/10
HANA
45
恒例のシリーズ第三弾。幽戸玄太は飄々とした文体で、それが怪談中にも関わらず奇妙なユーモアを醸し出している。「読経する男たち」のラストや「ちっ」の幽霊、「鈍い男」の全編にそれが特に顕著。この持ち味、他の怪談作者が持ち合わせていないので、今後さらに期待してみたい。村松進吉は…どうも方向性が妙な方向に向かっているような気がする。「快適! 夢のドラム缶生活!」の神秘体験とかには興味を覚えるが、こちらは学術的な興味で怪談に求めるのとは違うような気もするし…。「十一日半」や「鉛の空」は意味を求めるのも難しいし。2013/10/08
hannahhannah
14
ふたり怪談シリーズ第三弾。平山夢明が監修。今回は幽戸玄太vs.松村進吉。幽戸玄太の話が退屈で読むのが大変だった。松村進吉の話はシリーズ第一弾に続いて、幻覚、幻聴に苛まれる話が多かった。月に行ったという「メリエスの末裔は」退屈だったけど、産婆が体験したという「赤い産湯」はサイコホラーっぽく、エグくて良かった。「それはそれ、これはこれ」は統合失調症患者が出てくる。その病気とは別に幽霊を見るようになりましたと言っていた。「恋人たちの森」はサイコな子供がヤバいわ。ラストの「鉛の空」の話者もサイコな感じで怖かった。2017/03/14
ラルル
10
幽戸さんの「鈍い男」面白いですね~。何つーか、ここまで感度ゼロの人が怪談本のネタになるというのが面白い。松村さんは前回に続き精神疾患系。ふたりシリーズではずっとその路線で行くんでしょうか?怪談とは言えないけれど、今回の塩梅ならアリだと思います。前回のはちょっとナシだったけど;2013/12/05
arisaka
7
実録怪談も次のステージに進んだという感じなのだろうか、一昔前とはかなり毛色が違う二人。松村怪談は伊藤潤二の世界に近い気がする。ドラム缶なんか、まんま漫画化できそう。2013/12/12