内容説明
栄養学は日本で生まれて世界に波及した。これは近代科学史上、非常に特異な形成過程である。それを可能にした条件、栄養学が目指した理想とは何か。栄養学の父・佐伯矩の生涯をたどりながら栄養思想の成立史を克明に描き、日本における食思想史研究の第一歩を踏み出す。
目次
序章 なぜいま栄養思想か
第1章 近世思想との連続と断絶―伊予愛媛時代
第2章 生理学と日清戦争―岡山・京都時代
第3章 細菌学と日露戦争―伝染病研究所時代
第4章 「新たな栄養研究」の到来―米国留学時代
第5章 栄養学の独立―私立栄養研究所時代
第6章 栄養学研究の本格化―国立栄養研究所時代
第7章 「栄養三輪説」とその後―栄養学の国際化時代
終章 私たちは栄養思想から何を学ぶか
著者等紹介
上田遥[ウエダハルカ]
1992年生まれ。2020年京都大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士。トゥールーズ第二大学、国立台湾大学にて客員研究員。2023年東京大学東洋文化研究所助教。2025年東京大学大学院農学生命科学研究科助教(現職)。主著に『食の豊かさ 食の貧困』2024年、名古屋大学出版会(2025年度農業経済学会学術賞)、『Food Education and Gastronomic Tradition in Japan and France』2022年(2024年第23回杉田玄白賞〔地域奨励賞〕)、『食育の理論と教授法』2021年、昭和堂(2022年度農業経済学会奨励賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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