内容説明
キリマンジャロ西斜面の山奥にあるルカニ村。「世界農業遺産」に認定されるほどの魅力的な農林畜複合経営が、「コーヒー危機」の影響で崩壊したが、フェアトレードの取り組みにより復興しつつある。2002~13年における農家の経営行動を観察し、「アフリカ型」の貧困削減・農村開発のあり方を探る。
目次
第1部 農家経済経営・農村開発の分析の枠組みと課題(タンザニア農村における貧困・開発の分析枠組み:「アフリカ型」農村開発をめぐって;「制度派」農家経済経営学序説:混成性の政営目標・成果の分析枠組み)
第2部 キリマンジャロの農家経済経営の基礎構造:現金現物日記帳の分析(現金現物日記帳に基づく農家経済経営行動と基礎構造の解明)
第3部 農家経済経営の実態:品目ごとの経営行動(コーヒーの価格形成と小農民のアップグレーディング:流通制度改革・協同組合・フェアトレードの役割;トウモロコシ・豆をめぐる経営行動の特質:コーヒー危機にともなう「男性産物」の多様化と所得安全保障 ほか)
第4部 農家経済経営を取り巻く社会制度の実態:ローカル社会経済と相互扶助(キリマンジャロ西部の社会経済構造と地域経済圏:農民市場を媒介にした農畜産物の地域内循環;相互扶助システムと拡大家族経済:伝統的社会(安全)保障制度の実態)
第5部 農家経済経営・農村開発の成果の評価:フェアトレードの役割(貧困削減とフェアトレードの経営成果:「貧困と開発の概念図」「ケイパビリティ・アプローチの概念図」に基づく貧困・開発の評価;利益追求・家計安全保障の経営成果:農家経済経営の基礎構造に基づく経営・フェアトレードの評価)
著者等紹介
辻村英之[ツジムラヒデユキ]
1967年愛知県生まれ。1998年京都大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士(農林経済学)。在タンザニア日本大使館専門調査員(経済・経済協力担当)、金沢大学経済学部助教授(世界経済論担当)を経て、京都大学大学院農学研究科教授(生物資源経済学専攻・農業食料組織経営学分野)。単著:『農業を買い支える仕組み―フェアトレードと産消提携―』太田出版、2013年(日本協同組合学会学術賞受賞)。『コーヒーと南北問題―「キリマンジャロ」のフードシステム―』日本経済評論社、2004年。オンデマンド版を2005年に刊行(地域農林経済学会学会賞受賞)。『南部アフリカの農村協同組合―構造調整政策下における役割と育成―』日本経済評論社、1999年(国際開発高等教育機構 国際開発研究大来賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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