内容説明
私たちは普段自分が存在していることを疑いはしない。しかし疑わないということは、私たちが存在喪失をまぬがれていることを意味してはいない。この書は、私たちの存在が居場所なくしては成り立ち得ない事実を踏まえつつ、昭和のかかえていた問題を、今を生きる私たちの身近な存在問題として捉えようとした注目の書である。
目次
昭和の暗黒期と立原道造―生と居場所との関係について
西脇順三郎―その詩と詩学の深さと広さについて
詩と旅と幽玄―西脇順三郎をめぐって
美と歴史をめぐる一考察―昭和詩の一問題
伊東静雄と保田与重郎―「清らかさ」をめぐる一考察
安西均小論―現実と非現実のはざまにて
日本的テロリズムをめぐる一考察―三島由紀夫と保田与重郎の所説を中心にして
三島由紀夫論―意識による、生と存在の回復の試み
知性と余計者―三島由紀夫の知性性をめぐって
生と存在をめぐる一考察―ヴァレリーの所説を中心にして
道化と仮面―太宰治と三島由紀夫
著者等紹介
佐久間隆史[サクマタカシ]
1942年東京生まれ。1964年早稲田大学文学部国文科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。