内容説明
3年を経て福島のコメからは、国基準以上のセシウムは検出されなくなった。普通の除染のように土を取り除くと、田んぼから栄養も奪われる。だから、セシウムの多い表土を掘り起こし、稲が吸い込まない下の方に埋め返す、そんな地道な作業のくり返しだ。福島の農民の努力と厳格な検査の結果、コメの安全性に三浦は自信がある。しかし、「食べてほしい」とは言わない。ただただ安全なコメをつくり、測り続ける。売れないのは国と東電の責任だから、「食べる」「食べない」で国民が分裂してはダメ。売れないことの賠償は国・東電に求める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
20
南相馬のお米美味しかったんだけどあれから手に入れられなくなってしょんぼりだった私には現地の作り手の活き活きとした姿が伝わってきて一安心。何はともあれものすごいクレバーなファーマーで恐ろしく手強いタフネゴシエーターって感じなんだけど、基本楽しくってのがいいすね。タイトルからは所謂「放射脳」な人へのカウンターかとおもってたらそうじゃないってのがミソですな。2015/04/28
chietaro
5
タイトルにインパクトはありますが、真摯に福島の農業と向き合っているのを感じました。戦い方も無益な分断をしないようにしていると冒頭で目からウロコでした。「安全」と「安心」に寄り添っているからタイトルのような言葉が出てきたのだと思います。悲観的になりかねない状況ですが、明るく前向きに活動しているのが素敵です。一回会ってお話を聞いてみたいです。2019/08/02
Naho Sotome
3
【2016年17冊目】新聞連載で知った本。まずタイトルのインパクト。福島の農家、三浦広志さんの口癖らしい。行政の論理でやっていては復興からはほど遠い、ならば交渉して、自分で動く!というアクティビストの、極めて真っ当な持論が展開されている(思考はとても冷静な人だ)。「消費者が福島のコメを食べないのは、福島の農家の責任ではないということだ。(略)そういう農民の努力の成果は、国と東電の手柄ではない。それなのに、国や東電は、線量が下がったのをいいことに、コメが売れない責任をもうとらなくてもいいと考えている」2016/01/31
滝原夏希
3
この三浦さんのような人がもっとたくさんいて、いろんな場所で発言・行動すれば日本は変われるのではないか、と思った。 福島県人の敵は政府と東電本社だ、と断言しているところが潔い。 実際に身内で争いが絶えない事実を知ると、怒りや憤りの矛先がぶつけやすいところにいってしまっているように思える。 ところどころにある写真がリアリティを増す効果を高めている。 いま、現在、こうして奮闘している人々の姿をぜひ大勢のひとが知ってほしい、と思った。 なお、ちょっと拗ねた感のあるタイトルには、深い意味が込められている2015/05/20
woods
3
南相馬市に行っても、原発事故によって分断されたコミュニティを見て救われない気持ちになる。 しかし、著者が追いかけた三浦さんは、敵は「政府と東電」だけとみていたり、自身が食べなかった経緯も踏まえ「安心できるまで食べなくて結構」という。地域がひとつ理解し合うポイントのようなものを提示している。 福島を見る際に、ぜひとも備えておきたい知見・視点だと思われる。2015/04/26
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