内容説明
宗教と経済の関連研究は、精神と物質という根源的な問題にかかわるだけに、難解なことがらである。とりわけ本書は、これまで数10年にわたって取扱ってきた宗教と経済倫理の関連研究の成果の、一部をまとめたものである。本書の中心的な課題は、仏教の経済倫理が近世近江商人の経済精神の成立にある決定的な影響を与えたことを究明しようとしたものである。
目次
第1部 宗教と経済倫理の諸問題―マックス・ウェーバーを中心として(宗教と経済;禁欲的プロテスタンティズムの経済倫理;マックス・ウェーバーの仏教理解)
第2部 仏教の経済倫理(インド仏教の経済倫理;大乗仏教の経済倫理;日本仏教の経済倫理;鈴木正三の職業倫理;浄土教の経済倫理;石門心学と仏教)
第3部 近世近江商人の家訓・店則の事例研究(西川甚五郎家;西川庄六家;伴荘右衛門家;市田清兵衛家;中井源左衛門家;山中兵右衛門家;矢野文左衛門家;中村治兵衛家;松居久左衛門家;外村与左衛門家;藤井善助家;経済精神の諸類型―むすびにかえて)
第4部 近江商人の経済精神(近世近江商人論;近江商人の宗教意識―信仰生活;近江商人の経済精神;日本資本主義の精神―むすびにかえて)