内容説明
星新一、筒井康隆、平井和正…。現代文学から、ライトノベルにいたるまで、広い影響をあたえ続けている初期の日本SF作品から、親しみやすいショートショート・短篇を集めたアンソロジーシリーズ!本巻では、パラレルワールド、四次元世界、冥界など「ここではない世界」「もうひとつの世界」を舞台とした異次元SFの傑作を収録。巻末で、大人気の「転生もの」「召喚もの」の源流ともいえる異次元SFの歩みや、各著者の代表作などを丁寧に解説します。
著者等紹介
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968(昭和43)年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経てミステリ・SF評論家、フリー編集者。著書に『日本SF全集・総解説』『ミステリ交差点』、編著に『天城一の密室犯罪学教程』(第五回本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)など多数
谷川千佳[タニカワチカ]
1986年、富山県生まれ。神戸大学発達科学部卒業。専門学校の講師などを経て、2014年よりフリーランスとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くさてる
18
初期日本SFショートショートセレクション。なんといっても圧倒的なのは、筒井康隆「母子像」。そして、星新一「殉教」はこの話の本当の意味を自分は理解できていないのではないかと空恐ろしい気分になりました。既読がほとんどでしたが、読み応えありました。2020/09/26
猫路(ねころ)
16
このシリーズ3冊目、異次元のお話、次元がズレてハマってしまったアンソロジー。戦後からの話が多いが、不思議さに漂うのだった。『潮の匂い』(眉村卓)がお気に入り。2024/09/18
月をみるもの
13
筒井康隆のホラーも凄みがあるんだけど、なんといっても恐ろしいのは最後に収録されている「殉教」。これがデビュー三作目って、どんだけ天才なの>星新一。パンドラの箱を開けたあと、底に最後に残っていたものは "生き残りの仲間たち。それは宗教はもちろん、科学も、人間も、自分自身も、死も信ずることができない仲間たちだ" 2025/05/10
マツユキ
11
異次元をテーマに、5篇収録。異次元も色々ですね。正統派、平井和正『次元を駆ける恋』。好きなオチの今日泊亜蘭『ケンの行った昏い国』。サラリーマンが主人公の眉村卓『潮の匂い』、重ねて怖い、筒井康隆『母子像』、衝撃の星新一『殉教』収録。このシリーズも残り一冊。同じ作家さんの作品が別の本でも登場するんで、一冊毎に読みやすくなっています。2019/09/01
スターライト
9
事故死した恋人を偶然手に入れたタイムトラベルの能力で救おうとする男を描く「次元を駆ける恋」ほか、全5篇を収録。どの作品も作者の魅力がつまった傑作揃いだが、日常生活からの逃避が思わぬところに迷い込むサラリーマンを描いた「潮の匂い」、ある発明品により次々と人々が「自殺」していく「殉教」が特に印象に残った。前者はサラリーマンの心情をうまくとらえ、ラストの一種のすがすがしさには共感する者も多いのではないか。後者は軽いタッチで書かれているが、生死を問う哲学的な要素に満ちており、作者の腕の冴えをみる思いだ。2019/03/23