内容説明
人生の最期をどのようにして過ごしたいか。どこよりも良質な終末医療を施したいと考えた若い女医が作り上げたホスピスのついた診療所「花の谷クリニック」が南房総にある。ここは患者が自宅にいるような気分で過ごせ、帰りたい時に家に戻れ、積極的医療を受けることも出来る。「ホスピスを超えたホスピス」だった。感動のルポルタージュ。
目次
第1章 芽―「ホスピスのある診療所」ができるまで(暖かい冬;ジョン・コルトレーンの午後;「花の谷」をつくる ほか)
第2章 花―「花の谷」の日々(カミさんなりの意志で生きて;緩和ケアの技術がほしい;「食べる」という希望を支えたい ほか)
第3章 種―医療の枠組みを超えて、地域へ(医師たちの質問;「我が家」でなくても「和が家」;山梨に初めてのホスピスができた ほか)
著者等紹介
土本亜理子[ツチモトアリコ]
1957年東京生まれ。出版社勤務、雑誌記者を経てフリーに。20代は働く女性のルポルタージュや労働、環境問題を執筆。30代から医療、看護、介護に関する取材を精力的に行い、それらをテーマにした映像制作も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真香@ゆるゆるペース
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実家本。千葉県南房総市にあるホスピス「花の谷クリニック」。ここは、患者さんが自宅にいるような気分で過ごせ、帰りたい時は家に戻れ、調子が悪い時は積極的医療を受けられるという、夢のような場所。この「花の谷」をオープンさせた伊藤真美院長は、枠に囚われない自然体な人柄で、地域に根差した施設づくりとどこよりも良質な医療を施したいという、凛とした志が伝わってくる。こんな素敵なホスピスがもっと増えてくれたら、どんなにいいだろうか… 命と死という考えさせられるテーマなのに不思議と重さを感じず、読後感は爽やかですらあった。2020/04/18
yo
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人の容態が急変したところに立ち会ったことがきっかけで、この本を手に取りました。 このホスピスは家と施設を行き来することができるし、積極的な医療は近くの総合病院に通って受けることができる。ゆったりと自然な環境。 印象に残ったのは、ホスピスにいる人は皆、穏やかな死をまっているのではないということ。言葉には出さなくとも、生に未練はあって 人が死ぬことは、大変だということ。 多くの人の死をみてきた院長先生だからこそわかることなのだろう。 励ます、元気付けるだけじゃなくて、死ぬことは大変、という視点は重2012/12/25